『 週刊 Hanko』347号
なんだかよくわからない夏ですが,とにかく暑いですね。もうきっと着れないだろうと思っていたショートパンツで,平気で買い物に出てしまうこの頃…。暑さは神経をず太くするみたいです。^_^;
◆「ネコよけのネコ」敗れたり◆
いつぞや教えていただいた,ノラ猫対策の有力候補「ネコよけのネコ」。その後,実物を見せていただく機会もあって,これならできる!と,旦那がせっせと作りました。
プラスチックの板をネコの形に切り抜き,目玉の部分に穴をあけてビー玉を埋め込み(目が光るのがミソ),それらしく口やヒゲなどを書き込んで,完成!
これを,玄関の前に吊るしました。それこそド真ん中に! コレに触らなければ玄関の戸は絶対開けられない!という場所に!
…が,ダメでした。(..)ガックリ しっかり玄関開けてはいってきた…。やはり,鍵をかけるしかないようです。。。
そもそもこの「ネコよけのネコ」は,お互いの縄張りを尊重する,マナーのよいノラ猫用の物と思われます。このへんのネコは,救いようもなくマナー悪いのですよ,全く!
…でも,このネコ,作った旦那に似て,とーっても人なつこそうに笑ってるんですよねぇ。それが敗因だったかな。^_^;
◆俵万智「チョコレート革命」◆
「サラダ記念日」で鮮烈なデビューを飾ってから10年。昨年,彼女が6年ぶりに歌集を出しました。先日,NHKで,この歌集をもとに「チョコレート革命」というドラマをやっていて,短歌をもとにドラマができちゃうとはすごいな,と思い,図書館から借りてきました。
言ってみれば「不倫」の話で,会いたくても会えない,オープンにできない,「家族」の存在の重さを知る…というような切なさを詠んだ歌が多いです。多分彼女も不倫を奨励しているわけではないだろうけど(ドラマの最後はちゃんと別れてそれぞれの道を歩いていきましたね),「愛を育てる」「この出会いを大切にする」という意味で,一つの恋愛の有りかたとして受けとめているように感じました。
言われてみれば,結婚して妻の座に腰をすえ,幸福を見失いがちな女は,あまり美しくもかわいくもないかもしれないし,大恋愛の末に結婚しても「帰宅拒否症」になる人がいることを思えば,「日常の中で愛を育て,お互いに成長していく」ことの難しさも痛感し,反省させられるのでした。^_^;
--------------------------------------------------------------------
タイトルは,次の一首から言葉を選んだ。
男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす
恋には,大人の返事など,いらない。君に向かってひるがえした,甘く苦い反旗。チョコレート革命とは,そんな気分をとらえた言葉だった。(「あとがき」より)
--------------------------------------------------------------------
私が妙に心に残ったのは,
卒業式の前の日に知る千円でバラは三本買えないことを
そうなんです,自分で買おうとして初めてその価値を知る。そういうことってないですか?花束に限らず,物に限らず,自分が誰かにしてあげたいと思い,動いてみて,初めてその真意や心を知り,あぁあの時…とさかのぼって感謝する。時間がたっていればいるほど,じーーんときてしまうのですが,今さらどうすることもできず,せめて今身近にいる人に返していこう,と思ったりしながら今日を生きてる…。今まで出会った多くの人に,していただいた多くのことに,改めて「ありがとう」と言いたくなった一首でした。
◆チョコレート語訳「みだれ髪」◆
つい最近「チョコレート語訳 みだれ髪」というのも,出ましたね。あの与謝野晶子の歌集を,俵さんの言葉でわかりやすく訳したものです。
「みだれ髪」は,晶子と,短歌の師である与謝野鉄幹の恋愛を背景にして生まれたものです。晶子が鉄幹と出会った時は,それぞれ21歳,27歳。鉄幹にはすでに妻子があり,しかも短歌のライバルである山川登美子とは,鉄幹を巡って恋愛でも競っていたという…。そしてついには鉄幹の新しい妻となった晶子の情熱。。これはすごいエネルギーですよね。
私が中学の時大好きだった国語の先生(男)が,「今,与謝野晶子みたいな情熱的な女がいたら,どこまでも探しに行くんだけどなぁ」と言っていたのがとても印象的で,一度読みたいとは思っていました。でもチョコ語でもやはり難しい(短歌が…というよりも,この私にはないほとばしる情熱を理解するのが,かな)。登美子に対するライバル意識みえみえの章もあるのです。実際,そういう妙な三角関係になったとして,こんなに赤裸々に歌に詠めるものなんでしょうか。でもしかし,ストレートに自分の心のうちを歌にしてさらけ出せる率直さには,うらやましい物も感じました。えーかっこしーの人間には,無理なことだな,と。
それにしても鉄幹というのは…。罪な男ですよね。^_^;
1998.8.25 斎藤 範子(Hanko)
☆感想のお便り、お待ちしてます。
hanko.saito@nifty.ne.jp
『 週刊 Hanko 』 メニュー →
|
|
Abu Saito TOP PAGE →
|
|
|