丹沢・小川谷から同角ノ頭


12月3日(土)霧のち晴れ。
丹沢で目立つピークのうち、踏んでないピークを地図上で探して見ると、同角ノ頭がある。 そろそろ沢もお終いだし、今週いって見るかと出発。
忘れもしない7年前、遺言棚をめざし、日没でビバークしたコースだ。
あのルートなら、比較的簡単に、同角ノ頭へ行けるだろうと、考えたのだが・・・。
セブンの駐車場から見上げる丹沢方面の上空には、黒雲が漂っている。
天気予報は、くもりのち晴れとまずまずだったので、心配しなかったのだが・・・。
玄倉林道に入り、県民の森駐車場に着いた時は7時過ぎ、天候は曇りで、少し薄日もさしてきた。
気温は低く、初冬の雰囲気になってきた。
もう、この時期になると、紅葉もおしまいだし、ましてや、小川谷を辿る人もいない。 駐車している車はなく、ひっそりしている。
この道も、ザレの部分が何箇所か崩れ、少しずつ歩きにくくなってきた、ところどころロープがあり、注意して行けばたいしたことはないが。
7年前、簡単に見逃した、東沢への分岐だが、一応チェックして行こうと思いながら歩いたのだが、不覚にも、今回も簡単に見逃してしまった。
この辺だったら、簡単に沢に降りられるなあ、なんて本流の音を聞きながら、まだまだ先か、なんて歩いていると、水のない広いガレ沢に出てしまった。
また、やっちゃった、このガレ沢は見覚えがある(7年前横断した沢)。 まあいいか、東沢へ行くんじゃないし。
確か分岐にはテープくらいあった気がしたが、何にも気がつかなかった。
これからは、過去の記憶を頼りに、踏み跡を歩く。
もう一つガレ沢を渡り、しばらくすると道は途切れた。
さて、本谷はもう少し先だが、過去の記憶だと、たんたんと小川谷本流まで行けたはずだが。
ザレ沢の左岸に、これまたザレザレのルンゼがあり、上の方にロープのようなものが見える。
ロープをたどり、登って見ると、また広い仕事道が復活。 たんたんと歩いて行くと、出ました本流に。
さて、次なる目標は、尾根に取り付く道だ。 確か、本谷の右岸沿いを少し歩いた記憶がある。
左岸に注意しながら、過去に登った、尾根と道を探して沢沿いを歩く。
ケルンが積んである小沢から、尾根に取り付いて見たが、どうもここは違うと思い、すぐに引き返す。
何箇所か探しているうちに、パラパラと霰が降ってきた、今日は晴れるといったのに・・・。
小川谷が大きく二つのガレ沢に分かれる手前、割合楽に登れそうな尾根があった。 ミツマタが沢山あり、炭焼きのあともある。

ここは、過去に記憶のある場所ではないが、もう探しても見つからないので、登って見ることにする。
万が一、行き詰まったり、時間でオーバーしそうな時は、迷わず引き返すことにして、登り始める。
地図を見ると、多分同角ノ頭へ直接登る尾根のようで、昔登った道と尾根はその手前のような気がする。
まあいいか、ピークに出ればしめたものだし。 多少、獣道もあり、忠実に尾根上をせめて行けばいけそうだ。
多少、急なところもあるが、比較的気楽に登れていける。 何か、過去に、人が降りたような感じもあるが。
だんだん霧が深くなってきた、視界は100Mほど、周りの景色は何も見えない。
過去に間違ったときは、快晴で富士山が見え、キレットも見えたのに、今日は何の目標物も見えない。
尾根は、同じような勾配で続き、ずっと鹿道が続いている。 天気が良ければ、気持ちいい広葉樹の尾根だが、何にも見えないのは不安だ。

それでも、登って行けば、いつかピークの同角の頭へ着くだろうと、上へ上へと登る。
霧はますます深く、ゴーゴーと風の音がして寒い、一旦脱いだウインドブレーカーを再び着る。
途中、古いテープがあった。 先を追って見ると、この尾根から下る方向を示しているようだ。
上を見ながら、まだか、まだかと登ること1時間半、霧の中に、白い花が咲いているような、景色が広がってきた。
ムヒョ、ムヒョ、霧氷ー。おおー霧氷だぁぁーーー!!。
なんと、昨日から今朝にかけ降った雨が、樹々に氷つき。霧氷の花になっているのだ。
丹沢では初めての景色(冬は登らないからねー)、感動ものだ。
今日の天気にがっかりしていたが、これはもうけもの、かえって感謝。
しばらくすると、霧の中に鉄クイとロープが見えてきた。 これはゴールが近いぞーと思いながら登ること100M、同角ノ頭の標識があった。

やったー、ついに登りつめたぞー、登山道に出たぞー。
頂上には、テーブルと道標があり、とりあえず一息つく。 霧は深く、風もあり、休憩していると寒い。
だれもいるわけでもなく、あまり見通しのある頂上ではなさそうだ。
しばらく、山頂付近の霧氷の花を撮影、やはり上の方が幅広く氷付いている。
撮影中にも身体が冷え、手はかじかみ、長く留まってはいられない。
登山道の方向を確かめて見ると、先ほど見た、鉄杭とロープは、登山道の一部だった。 桧洞丸方向へ、同角ノ頭から下っていく。
この辺は、植林の保護だろうか、板の階段が多く作られ、そんなにきつい坂でなくても、設置されていた。
この尾根は、ぶなが多く、新緑や紅葉時はすばらしい景色になるだろう。 霧は一向に晴れず、桧洞丸と箒沢との分岐に着いた。

天候と時間を考え、桧洞丸山頂往復はあきらめる。
風は収まってきたので、イスにすわり、簡単におにぎりを食べる。 ビールは持って来たのだが、寒さと帰りの下りを考え、飲むことはやめた。
ここ棚沢山稜は、同角の尾根と同様、いやそれ以上にぶな林がすばらしい。 こんなにすばらしいぶな林が、まだ丹沢に残っていたとは、こりゃまた、いつか訪ねなければ!!。
同角山稜も石棚山稜も、たぶん、あまり歩く人がいないんじゃないか、少し不便だからね。 桧洞丸まで行けば、人に会うかと思うが、今日はいまだ、だれとも会わない。
歩き始めて30分、急速に晴れてくる気配になってきた。 霧が晴れ、周りの景色が見えるようになってきた。
こりゃあ、ねばれば富士山も見えるようになるかも。 ちらっと、木々の間から、同角ノ頭が見えた、なんと、山頂周辺全体が雪が降ったように白く見える。
あれは、霧氷じゃあー。 ところどころ、桧洞丸方面や、ここ石棚山稜付近にも、霧氷が付いている木がある。
下から登って来た夫婦とすれちがった。 「こんな景色が見られるなんて、ついてるねー」と話しながら、すれ違った、今日初の登山者だ。
同角の頭が望める場所を探し、しばし写真を取り捲る。
富士山は、まだまだだ。
小川谷の左俣が突き詰めるガレ沢が眼下に見え、見晴らしのいい高台のようなところがある。
足元はスパーと切れているので、あまり近づくと危険だが、同角ノ頭が大きく見える。 登った尾根も、小川谷の様子もよく見える。
反対側の富士山が見えそうな場所もあるのだが、いまだ雲の中。
箒沢と県民の森の分岐近くなると、ほぼ快晴近くなり、なにもじゃますることのない、大きな富士山がでんとお目見えしてきた。
もう、寒さはなく、暖かい陽光が降り注ぎ、とても気持ちのいい歩きになる。 霧氷と富士山が見え、大満足、県民の森へ向け、急坂尾根を下る。
下り始めてすぐ、登ってくる一人の登山者に会った。 時間も時間なので「泊まりですか?」と聞くと、「いやぁー、ちょいとそこの分岐まで行ってUターンですよ」 と、返事があった。 そうだろうなー、でも、そういう登り方をしている人もいるんだー、と思いながら分かれる。
県民の森へ下る登山道は、急坂が続き、足に負担がかかる、ヒザにこないよう、ゆっくり、一歩一歩降りる。
ここは、あまり登りに使いたくないなあと思うくらい、これでもか、というくらいに急激に下る。
やっと、県民の森の案内板がある、分岐についた。 久しく整備されていないのだろう、看板にかかれているルートがかすれて、よく見えない。
大正の森と紅葉の尾根コースとあったのを、尾根コースを下る。 やっと、下の林道が見えてきた、もう日没も近い。
石畳の道で、大きな案内板を見ていたら、先ほどすれ違った単独者が降りてきた。
車に戻ると他に2台止まっている、てっきり、一台は夫婦もの、もう一台は単独者と思ったのだが、彼は、てくてく林道をそのまま下っていってしまった。
さあ、いい時間だ、大体思い通りの周回コースが歩けたので満足、気持ちよく帰ろう。
途中、彼に声を掛けたが、そのまま歩いて行くという。 夕空近くの富士山を、玄倉付近の車窓から、眺めつつ、帰途についた。

車(県民の森)―本谷から尾根へ―同角ノ頭――桧洞丸分岐――箒沢分岐――車

7:30       9:20     10:45    12:00   14:00  15:50

 
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