『アキシマクジラ物語』


AKISHIMA KUJIRA STORY
『アキシマクジラ物語』田島 政人 著
けやき出版 定価1600円
ISBN4-905942-53-5 C0040 P1600E

はるか500万年の時の流れをこえてやってきた
太古の海からの使者

 ……クジラは、500万年(*注)の眠りからゆくりと目をさますかのように、その姿をあらわしてゆきました。夢中で掘りだし作業をするかたわら、なにかとんでもないことをしでかしてしまったような、とまどいが胸をかすめました。  発見した河原へは、その後、なん回となく足をはこびました。子どもたちや、化石に関心のあるグループを案内しては、見つけたときのようすや、発掘のやり方などを説明したのです。いったいなん人の人に、私のアキシマクジラの「自慢話」をしたことでしょう。「クジラ先生」のあだ名ももらいました。子どもたちの好奇心にみちた目、表情、やつぎばやの質問……。これこそが、地学を志す私の大きな財産となりました。(本文「私のアキシマクジラ」より)

 1961年、東京西部、昭島市内の多摩川の河原で一頭のクジラの化石が発見されました。当時、これだけ完全にそろった化石は世界でも珍しく、大きな反響を呼びました。
 「アキシマクジラ物語」と題したこの本では、発見、発掘、そして復元のようすをつたえ、また、多摩川流域で見つかった化石のいくつかを紹介しています。 発見者自身が語る発掘・復元の記録−−−−。

 そのとき、私の視界に、はじめて見る灰色のかたまりが飛びこんできました。「動物の骨だ」化石を見なれた目に、ピンとくるものがありました。それは、なめ土から、長さ10センチ、はば3センチぐらいの長方形に浮きでています。「いったい、なんの骨だろう」私はたんねんに、まわりを調べてみました。すると、すぐ近くに、へこんだ穴が2つ、3つ、4つと点々とあるではありませんか。穴の中をよく見てみると、ここにも同じタイプの骨があって、奥のほうへずっとつづいています。私はシャベルを握ったまま、しばらくぼうぜんとしてしまいました。もっと大きな部分が、なめ土深く埋まっているらしいのです。とてつもない、巨大な骨です。

*注:最近の調査ではアキシマクジラの化石年代は約160万年前とされています。

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