都内で園芸用品を扱う店が増えている。雑誌でガーデニングについて特集
が組まれたり、ミニ植木鉢が流行ったりと、あげればキリがない。
もともと緑豊かな地域に住んでいる人には、消費主義の単なる一流行にしか
思えないかもしれないが、都市部で暮らす人にとって常に有料である『小さ
な緑』が最後の癒しとも言える。
かく言う私も例外にもれず、有料の小さな緑を取り入れている人間で、手入
れにまめなほうではないので、丈夫なものだけが毎年葉をつけている。
なかでも派手な花が咲く植物はどことなく哀れな気がして、花が小さめで葉
が茂るタイプの植物だけを栽培している。
私の家は、交通の激しいバス通りに面した建物の6階で、わずか1.5帖程度
のスペースがベランダとなっているので、植木鉢を横一列に5〜6個並べたら
いっぱいである。しかもうち2個はエアコンの室外機に面してしまうので、夏
場は避難させねばならない。本当のミニミニガーデンだ。
そんな環境で、おおきな花弁をつける植物を置いても、花本来の目的である
蜂や蝶を呼び寄せる機能を消化しないので、気の毒になってしまうのだ。
植物の派手な花や果実は、虫や鳥に補食されて初めて子孫をばらまき繁栄さ
せる役割を果たす。よって、虫や鳥が寄ってこないような場所にある植物達
は、連鎖の役割を全うせず、人間の目を楽しませるだけの為に生涯を終える
ことになる。もちろん、小さな花しかつけない植物も同様で、私がしている
ことも気慰めなだけと言えるが、多少言い訳させてもらえば、良くできたも
ので、花が小さい植物には葉を必要とする虫がやってくるのだ。
どこから飛んでくるのか、私のベランダのようなひどい所にも、葉を食む芋
虫、アブラ虫等が住みつき、それを目当てにてんとう虫もやってくる。
どこに巣をつくっているのか蟻もアブラ虫を目当てにやってくるし、小さな
芋虫が落ちるのを待って蜘蛛が巣をつくり、かかった芋虫を補食する。
そうして各々が各々の役にたっているのに、人間だけがどの生物の役にもた
っていない。飼っている動物に餌をやったり、植物に肥料をやったり水をや
ったりなんてことは、その生物を必要な環境から引き離した結果に起こるこ
となので、連鎖の一つとすることはできない。
人間は環境を破壊していくしか発展する方法を持たない。他の生物に食べら
れることを運命として全うしたりせず、頂点に立つことだけを渇望する。
いったい人は何の為に地球に存在するのだろうか?
有料の小さな緑を見て心を和ませながらも、フと考えてしまう日が多い。