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  迷惑な丁寧さ (2002.7/28)


いったいどれだけの人が適切な丁寧さを心掛けて過ごしているだろう?

近頃では、多くのレストラン等で禁煙席を設けているので、
店に入るとまず喫煙者かどうか問われるというのが当たり前になっている。
そこで気になるのが、
そうした類いの質問が果たして適切かつ簡潔か?ということである。

実際によく行くお店での例を挙げてみよう。
「いらっしゃいませ。お客さま、何名様ですか?
 喫煙席と禁煙席を御用意しておりますが、
 どちらになさいますか?
 椅子のお席、畳のお席がございますが、どちらになさいますか?」

文章として眺めてみると何の落ち度もない。
必要な情報が網羅され、
お客にいちいち選んでもらう、というのも全く悪くない。
ただし、それが単にマニュアル化された文章でもって、
慣れない店員が拙い舌でたどたどしく言ったり、
気のない店員がめんどくさそうに早口でブツブツ言う場合、
上の質問では長過ぎるのである。

心がこもってない会話は相手に伝わりにくいもので、
慣れないお客さんなど、
「えっ?」
と聞き直すことになる。
そうすると、めんどくさそうな表情でますます早口に、
暗記している文章をもう一度最初から棒読みする店員もいる。
こういうことでは、言葉使いを知らない人間に、
表面上の丁寧さを装わせるためのマニュアルが逆効果となる。
普段から舌があまり回らない人なら、
『喫煙席と禁煙席』が難関なので、
「おたばこをお吸いになりますか?」
のほうが分かりやすいし、
『椅子のお席と畳のお席』は、
「椅子と畳、どちらになさいますか?」
でよいのである。

近頃どこでも見られる、キャッシュバックカードに関する、
レジでの会話も同じだ。
「いらっしゃいませ(ありがとうございます)、お客さま。恐れ入ります。
 ○○△△カードはお持ちですか?」
と早口でまくしたてられる。
言う側も言われる側も飽き飽きしている。
チェーン店では、どこの支店でも同じサービスを提供する為、
挨拶から始まるすべてがマニュアルになっており、
それを実行するのが店員の役目だ。
そのシステムには利点も多い。
ひどく無作法な店員というものに遭遇しなくて済むからだ。
挨拶も何も決まっていない個人営業規模のお店では、
返事もしない店員にだって出っくわすこともあるからだ。

というわけで、
チェーンの本部でマニュアルを作る人にお願いしたい。
一日に何十回何百回も同じことを言わねばならない店員の唇に対し、
思いやりを持つこと。
また、貴方のチェーンをお気に入りの店として何度も通ってくるお客に対して、
簡潔で答えやすいような質問を用意する親切さを心掛けていただきたい。

もちろん、マニュアルがなくても丁寧な対応ができる店員と、
『店員も客も同じ人間である』
という意識を持ったお客が組み合わされれば、
それは理想だけれども。

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