行きつけの銭湯には色々な人がいる。
色々な人といっても、洋服を着ている時は普通の人だ。
服を脱いだら色々な人になるというのは、
脱ぐと彫り物があったり、変わった体型の人がいるという意味でない。
銭湯では裸になり、お化粧も落とすし、
洗う、流すなど全くみなやり方が違うもので、
「人間ってこんなに多様なものか..」
と感心する。
ごく普通に行動する人が7割くらいだと思うが、
目立つ行為をしない人には注目しないものなので、
人数の割合はよくわからない。
ついつい気の毒に思ってしまうのは潔癖性気味の行動。
何度も何度も自分の歩く通路をお湯で洗ってからしか歩けない人。
浴槽に入る時には、20杯くらいは洗面器で表面のお湯を捨てる。
銭湯の椅子が汚いと思っているらしく、地べたに座る。
人の清潔基準など干渉したくないが、
そんなに人の使ったお湯や椅子が嫌なら銭湯に来なければいいのに、
と思う。
「家にお風呂がないんだからしょうがないじゃないか」
と反論する人もいると思うので、あえて言っておくが、
今時の銭湯というもの、本当に風呂無しのアパートに住んでいる人は、
ごく僅かしかいない。高級車で乗り付ける人も珍しくない。
まぁ、潔癖性というものはある種の病的症状でもあるので、
本人も辛いかもしれない。気の毒だということにしておこう。
さて、一番目立つ行為というのが、がさつな行為だ。
私の行く銭湯には有料サウナが併設されていて、
水風呂を一般の銭湯客と分かち合うことになっている。
サウナ使用の人は『がさつ自慢』が多い。
まず汗だらけでサウナからバターンと音をたてて出てくる。
誰に言うでもなく、
「あー暑い暑い!」
と言いながら、バシャーっと水風呂の水を洗面器で体にかける。
半径2メートル以内の人はその水をかぶることになる。
その後、水風呂の浴槽にザブーンと乱れ入る。
静かに水風呂に浸かっている人の顔が水の波に埋もれる。
次に、蛇口を全開にし、蛇口からの流水で顔を両手でバチャバチャ叩く。
これまた半径2メートルの人にはガサツ自慢の人の頬にはねかえった後の水滴
がピタ〜ンと飛んでくる。
行動が一段落すると、肩まで水に浸かり、再び誰に言うでもなく、
「はー!気持ちいい!!」
と叫び、今度は頭まで埋めて潜る。
相変わらず水風呂は激しく波打つ。
そういう人に限って、帰る時には礼儀正しく、愛想良く、
「お先にぃ!おやすみなさい。」
などと晴れやかに出て行くので憎めないものなのだ。
それにしても激し過ぎるんだよ〜。