おいぬさま
7月29日(火)不祥事対応マニュアル

たむけんの焼肉屋で食中毒が出たということで謝罪会見をテレビで見た。マニュアル通りの会見に、ついテレビに向かって「えらい!」を連発してしまった。

不祥事が起こった場合における正しい謝罪パフォーマンスだった。ワイドショーで「間違った不祥事対応」にコメントしてきた成果かもしれない。とにかくツボを押さえていて、経営者としてのたむけんに感心した。

たむけんが行ったのは、すべて基本的なことだ。

・当事者への経営者による直接謝罪
・今までの客および、将来の見込み客への謝罪
・責任は経営者の自分にあると断言
・従業員の非を否定
・全店舗の営業自粛という慎重かつ速やかな対応
・ひたすら真摯な態度

謝罪パフォーマンスとしては基本中の基本だけど、これができない経営者がよくテレビに出てきて、みるみるうちにドツボにはまっていく。どこまで学習能力がないねん、とテレビに突っ込まずにはいられないキャラクターの経営者は多い。

問題が起きたときに一番大切なのは直後の対応だ。小さなクレームも大きな不祥事も、直後の対応がその後を決める。神妙な面持ちで頭を下げれば下げるほど、「それほど責められることでも…」と思ってもらえる。次の業務につなげるための謝罪パフォーマンスは、それくらいでなくてはいけない。こんな時は、マニュアル通りに対応すればいいのだ。誠心誠意謝るという、マニュアル通りの対応でいいのだ。その通りにすればまず問題ない、というのがマニュアルなのだから。

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7月12日(土) 家具が増える生活

実家と姉夫婦の中間あたりに引っ越して、ファミリー向けマンションに住むようになり、犬の里親になり、生活がかなり変わった。体重は変わらない。

それほど期待していなかった新生活は、いい意味で予想を裏切ってくれた。無駄なスペースのある生活はいい。セキュリティに信頼がおける環境はいい。ただしこの広々快適マンション生活は期間限定だ。期間満了後に追い出されるとき、私はどうすればいいのか、今から気がかりだけど、それはさておき。

そんなつもりはなかったのに、恐ろしい勢いでモノが増える。今日はエアコンが付いた。風の通りのいい部屋だし、扇風機大好き人間としてはエアコンレス生活を送るつもりだったけれど、熱中症で死にやすい犬を引き取ったので最近の暑さが恐くなったのだ。もともと私は心配性で小心者で臆病だ。帰宅したら犬が死んでいたという事故も、などと読むと、そんなトラウマになりそうな経験をする可能性なんて潰してしまえ、とエアコンを決めた。思えばこの犬にはかなり金がかかっている。何か新しいアイテムをゲットするたびにyou're a very expensive doggyと愚痴ってるのだけど、全然分かってもらえない。

エアコンの取付作業が終わって、知らない人の来訪に興奮しまくった犬が落ち着いてから、冷たいものを飲もうとしたら、冷蔵庫には入れたばかりのペリエ以外、何もない。どうせ今すぐ飲めないなら、と氷出し緑茶を仕込んだ。

まぶしかった太陽がくすんだ夕焼けになりかかったころに、グラス一杯分のお茶ができた。爽やかで、濃くて、ほろ苦くて、甘い。氷出し緑茶のようなオトコはどこかいないものか。

7月13日(日) ダイエットの季節

気がつけば、免許証の更新のお知らせが届いていた。焦る。

5つ年を取り、体重が数キロ増えて、写真に写っている顎はすっかり消えた。目元の雰囲気が違うのは加齢による肌のたるみのせいだけじゃない。最近、鏡を見るのが恐くなってしまったが、そうも言ってられなくなってしまった。

姉がレコーディングダイエットに成功してサイズダウンしたのとは逆に、私の体重は右肩上がり。現実逃避すればするほど、体重も増える。順調に曲線を描いているグラフを直視するのはつらい。つらいので現実逃避→体重増加→更に現実逃避、という負のスパイラルを切らなくてはいけない。更新のお知らせの到着は、逃避できない現実だ。

デッドラインは9月半ば。それまでに、できることをしなければ。とりあえずビールはやめよう。なのに、こんな日に限って、親から寿司屋のお誘いが。回らない寿司です。値段の書いてない寿司屋です。行くに決まってるじゃないですか。(意思弱すぎ)

7月14日(月) 落としミシンが不可能な明るさもしくは暗さ

今更、永久脱毛中。慣れない……痛い……。

甥が愛用するミニトートの修理を、姉から頼まれた。10センチ四方程度の、甥が好きなミニカーのプリント生地でできた、小さなカバン。ほつれた部分だけを縫い直すつもりが、縫い方や糸の始末に耐えられず、結局ほぼすべて縫い直した。


まつり縫いは一目だけすくえと家庭科の授業で習ったはずなのに。


上糸と下糸のバランスが悪かったんだろうけど、それにしても限度ってものが。

ミシンを置いている部屋は日当たりが悪く、日中でも薄暗い。ついている電灯もあかりが弱い。こんな小さなものなのに、縫い目がよく見えず、2度ほど失敗してしまったのは、そのせいだ。加齢による視力低下が原因ではないと信じたい。

7月15日(火) von voyage

旅行先が決まらない。

どこかに行きたいけれど、どこに行きたいかが自分でわからない。去年、クロアチアに行ったのは、一緒に行く予定だった友達から勧められて調べるうちに興味が沸いたからだ。友達が行けなくなったからといって興味が失せたわけではなかったので、そのまま一人で行ってきた。

今年も「イタリアで食を満喫しよう!」と盛り上がっていたが、日程を決めようという段階で、行けなくなったと連絡があった。この人がダメならあの人と旅行に、というふうに旅仲間を見つけるのは簡単じゃない。連れがいないからと旅行をやめる気にもならない。だったら一人で行けばいいだけのことだ。

イタリアでキャンティ地方のアグリツーリズモでも、と思っていたけど、ユーロがあまりに高すぎる。他の国にしようか、でもどこにしよう、と迷っていた時に、図書館で「旅に出たくなる地図」という本を見つけた。

内容はいい。でも、ベルギーの地名表現を説明なく2種使うのはいただけない。

ベルギーにはオランダ語圏とフランス語圏がある。「フランダースの犬」でおなじみのアントワープ(オランダ語圏)は英語読みで、現地ではアントウェルペン、フランス語ではアンヴェールとなる。「死都ブリュージュ」はオランダ語圈なのにフランス語で書かれたからかフランス語読みで、オランダ語ではブルッヘ、英語ではブルージュ。フランス語圏のリエージュは英語も同じ読み方、でもオランダ語ではラウク。綴りを見れば同じ街を意味していると分かるものあるし、全く別の読み方をする街もある。

この本、ベルギーの全体地図では、オランダ語圈の街はオランダ語読み、フランス語圏の街はフランス語読みのカタカナで書いていた。でも日本人が見慣れているのは英語読みだ。しかも「フランダースの犬」を紹介している別のページではアントワープと表記している。どっちやねん、と突っ込みたくなる。

そもそも、ベルギーは日本独特の読み方で、オランダ語ではベルヒエ、フランス語ではベルジク、英語ではベルジャムだ。ブリテンでイングランドなのにイギリスのようなものだ。何やらこだわりがあるのだろうけど、それは読者にとって邪魔ではないだろうか、などと思いながら本を読み、やっぱり旅先は決まらない。

7月16日(水) 泳げる日もある

今のマンションには共有施設として大浴場がある。スーパー温泉などに興味を持っていなかった身としては、大浴場にそそられることもなく、初めて使ったのは入居して1週間以上たってからだった。

それが今では、毎日使っている。最初はよそよそしい存在だった大浴場も、今ではすっかり、他人も使える自分の風呂、という感じ。自分の部屋の風呂場は、朝のシャワーか犬の散歩後の足を洗うときくらいにしか使わない。前のマンションではほぼ毎日シャワーしか使っていなかったのとは大違いだ。

バスタブを洗わなくていい。湯をはらなくていい。排水溝にたまる髪の心配をしなくていい。その程度のことなのに、私にとっては大きな意味があったようで、疲れていても眠くても、毎日お風呂セットを持って部屋を出る。自分が風呂好きだとは知らなかった。

大浴場の湯の温度は43度くらいで、いつも37度ほどのお風呂に入っていた私にとっては、とても熱い。だから風呂をあがる頃には脈が上がり、顔が真っ赤になり、ミネラルウォーターを一気飲みしないと落ち着かない。たまに、大浴場通いは体に悪いのでは、と思うこともあるけど、気にしない、気にしない。

7月17日(木) 買う前からお気に入り

ようやく椅子が届いた。決めるまでに1カ月かかり、発注してから更に1カ月待った。犬に「やっときたよ!」と嬉しさを伝えたけれど、大嫌いな宅配業者が来た直後だったからか、私の興奮には付き合ってくれなかった。冷たいヤツめ。

バタフライスツールで有名な天童木工のショールームに、中座イス目当てで行って、プライチェアに一目惚れ。見た目が軽やかで、実際に持っても軽い。求めていた、350mm前後の高さのイスという条件にも当てはまる。張地がないので何かこぼしても慌てる必要がないのもいい。ショールームで対応してくれたおねーさんは、「いろんなイスに座って、これだ、と思うイスを買ってください。それがうちのイスだと嬉しいです」と言って、ショールームを出る私を見送ってくれた。そのとおりに色々座って、プライチェアに決めた。

イスの色はメープルを選んだ。先々週に買ったテーブルも、メープルだ。今までは必ずチークなどのダークカラー系を選んでいて、淡色の家具を買ったのは今回が初めて。今でも濃色は好きだけど、今の部屋に合うのは淡色のような気がして、ついメープルを選んでしまう。部屋に置いて、正解だった、と思う。

買ったのは一客だけ。だって一人暮らしだし、変更の予定はないし。ないったらないんだし。

7月18日(金) LASIKカウントダウン

レーシック前の最後の検査を受けてきた。最後とはいっても、初診を含めて3回しかないのだけれど。

前回と前々回の検査では瞳孔を開く目薬をさされて、検査後は瞳孔が開いた外に出なくてはならず、あまりに眩しく日傘を盾のようにして歩くはめになった。術前はコンタクト禁止でメガネをかけているので、どれほど眩しくてもサングラスを使うことができなかった。でもあの眩しさは地獄だ。今回はメガネを外してでもサングラスをかけて帰ろうと思って用意したら、最終検査では瞳孔を大きくする必要はなかった。喜んでいいんだか、がっかりすべきなんだか。

今日は、前回の検査結果から作ったレンズで、術後の見え方を調整した。術後はこんなに世界がはっきりするのか、と感激。来週の手術が待ち遠しい。

担当医師は検査結果を見て、差が大きいですね、と言った。コンピュータで計測した、私の目の本来の見え方と、片目を隠して計るおなじみの視力検査による、実際の見え方の差が大きいらしい。見えにくいならどうにかしてやろうと、人の体は自然と調整を図るらしく、私の体はかなり調整を頑張っているらしい。年齢的に、削りすぎると遠視になり取り返しがつかなくなるので(若ければ遠視気味がちょうどいい感じになる場合もあるらしい)、浅めに削って様子を見て数値が上がらなければ再照射、ということで落ち着いた。というか、納得させられた。過ぎたるは及ばざるがごとし、というフレーズが頭から離れない。

成功率は95%、言い換えれば20人に1人は納得のいかない結果になります、と再三聞かされ、そのたびに、頼むから19人の1人でいさせてくれ、と心の中で祈る。他にも何かと術後の問題点を挙げては、これでもレーシックを受けるのか、と確認されるという、インフォームド・コンセントを初体験した。うん、それでも受けるよ。いい結果が出ますように。

7月19日(土) 行列のできる動物病院

昨日はレーシックの検査から帰ってきて、犬を病院に連れていった。キャリーに犬を入れて運んだらやたら重い。しかも駅に着いて財布を忘れたことに気付いた。炎天下の中、重いキャリーをまた持ち帰ってふと手を見るとマメができかかっていた。私の握力は20ないのだ。(自慢になりません)

結局、駅までヒモを付けて歩かせて、駅の前でキャリーに入れ、手荷物料金を払って電車に乗り、病院のある駅で降りてまた歩き、診察を受けた結果、とりあえず原因が分からないので様子見、ということになった。

「とりあえず様子見」という言葉を聞くために、血液検査2000円、血清検査2000円、X線4枚4000円。その他診療費やら薬代やらで、1万近く払った。場合によっては麻酔して更なる検査を、と言われた。ペット健康保険に入るべきか、悩む。

たまに足を引きずるけれどすぐに治る、と前の飼い主から話を聞いていたので、足を引きずる仕草をしてもそれほど心配しなかった。でも1週間、四六時中足を引きずられると、さすがに恐い。近所の、まだ新しい動物病院の院長が知り合いの知り合いっぽかったので確認すると、あそこは預けると死ぬと近所では有名だから絶対にやめておけ、と言われてしまった。知らずにヒモ獣医に連れていかなくてよかった。地元の噂は大切にしなくてはいけない。

原因は分からないが痛いのは確かなのでしばらく安静に、と獣医は言う。毎日、半時間は公園でボール遊びをしていたのに、1日10〜20分の散歩だけにしろなんて、酷な話だ。頭がよくずるがしこい犬で、わざとトイレだけは覚えていないフリをする。散歩もボール遊びもなくなるとストレスがたまって粗相しまくりでは、と恐くなった。なので、いつ粗相されてもおおらかに対応できるようにと、クレート周辺にトイレシートを敷いたのに、一日中ウソのようにおとなしく寝ていた。

嵐の前のなんとやら。明日が恐い。(今のところ、犬への信用度ゼロ)

7月20日(日) 夏野菜

ゴーヤというかニガウリをわざわざ買うことはない。ゴーヤ茶やゴーヤチップスなら好きなんだけど。でも、ニガウリをもらう機会があれば、生のまま薄くスライスしてサラダにして食べる。ニガウリは火を入れないほうが私は好きなのだけれど(もちろん新鮮なのが大前提)、あまり賛同してもらえない。

姉の家でとれたニガウリをもらったので、やっぱりサラダにした。

ぶつ切りのタコと和風ゴマドレで食べるのがいつものパターンなのだけど、タコも和風ゴマドレも冷蔵庫になく、暑すぎてスーパーに買いに行く気力もなかったので、豚肉とマヨネーズベースのゴマドレを使った。さっぱり度は落ちるけど、しっかり度が増しておいしいよ。

7月21日(月) まいうー

ミキサーというかブレンダーというか、とにかく食材を砕いて混ぜるモノがほしい、と姉に言ったところ、使ってないバーミックスがあるよ、というので、長期レンタルすることになった。

離乳食用に買ったものの作った料理を食べてもらえないことが続いて、使う気が失せ、奥にしまったままだったらしい。人のために料理すると、こういう問題が起こる。私は自分のために料理するので、まず、問題にならない。

思いこみは味覚に影響する。おいしくできますように、と祈りながら自分で作って自分で食べると、思いこみ作用によってそれなりにおいしく食べられる。でも、思いこみは他人に伝染しない。思いこみは過程と共に生まれるから、料理の過程を知らない人には、思いこみも伝わらない。愛情が料理の味を決める、なんてことは私は信じない。

以前、甥がまとわりつく状況でごはんを作ったとき、好みの味付けではなかったはずなのに、甥はちゃんと食べた。いつもなら文句を言って残してるはずのものだった。横にいることで、甥は料理の疑似体験をしたのだと思う。私にとっては失敗ではない料理だったので、甥に食べることを拒否されたとしても、舌の未成熟さによるものだと決めつけて、私自身は納得し、気にしない。

でも姉は気にする。会社でしんどい思いをして、疲れて帰ってきてごはんを作ったら子どもに文句を言われれば、そりゃあやる気も失せる。なので何か作ってあげると約束した。姉はそれほど味にうるさい人ではないので、私が適当に作ったモノを文句言わずに食べるだろう。甥が味にケチをつけても、作った私は気にしないし、作っていない姉の気にもさわらない。食材も提供してくれるというし、バーミックスを無期限で借りる条件としては悪くない。今日作った梅ドレッシングはうまうまだった。明日は何を作ろうか。何を食べようか。

7月22日(火) 新しいおもちゃのような

旅行前の姉一家から受け取った野菜を大量消費。食べ忘れていたトマトでトマトソースを作り、ほったらかしてたジャガイモでビシソワーズを作り、ひからびかけだったモロヘイヤでスープを作った。バーミックスが楽しすぎる。

こんなに便利で楽しいバーミックスを台所の棚の奥に閉まっておくなんて、姉はどうかしている。でも、この興奮を伝えると、必ず「返せ」と言われるだろうから、姉にはこの楽しさも便利さも伝えるつもりはない。

明日はオイルを買い足して、玉ねぎドレッシングを作る予定。瓶の煮沸消毒はもう済ませた。大量のナスもバーミックスで何か作れたらいいんだけど、さすがに無理かな。

7月23日(水) メガネ生活最後の日(予定)

ナスの消費方法として、ナスペーストのパスタを教えてもらったので、バーミックス片手に作ってみた。色的に寂しかったのでベーコンも添えてみたりして。

しかし味がどうもボケてる気がする。塩を足したりコショウを足したりしてみたけど、それでもボケる。敗因は何だろう。うーん、うーん。

よく冷えた白ワインと一緒なら感じが変わったかもしれない。ワインは冷蔵庫に入ってる。でも明日はレーシックの手術で、前日の飲酒は禁止されている。哀しい。せめて犬がおとなしく寝てくれている横で食べられる、という状況に感謝しよう。最近、落ち着いた様子の犬を見ていることが一番の幸せになってきた。

先週、犬を病院に連れていってから運動量がめっきり減ったので、ストレスからトイレを失敗しまくるかと予想したのに、逆に成功し続けている。それはいいのだが、ストレスの発散としてキャンキャン鳴きながら自分の後ろ足を噛もうとする。十分な運動をさせているときには見せなかった行動で、可哀相になってくる。

今朝も片足をあげ痛そうにしているので病院に連れていくと、先生の前では普通に歩き出した。なんでやねん。もう少し様子を見ましょうと薬をもらい、散歩時間を最長30分まで伸ばす許可を得て、帰宅後に散歩に連れていくと、朝とは違って普通に立ち、歩く。なんでやねん。わけが分からない。

わけが分からないといえば、母もそうだ。腕の骨にヒビが入ってギプス生活をしているので、たまに手伝いを頼まれるのだけど、今日はウナギを買ってこいと電話があった。ウナギ屋に向かっていると、土用の丑は明日だった、勘違いしていた、と訂正の電話が入った。結局ウナギを買って実家に持っていき、私の取り分もちゃっかりもらった。ウナギといえばビールだ。ビールに決まってる。でも今日は飲めない。ああ、酒のない人生なんて。

7月24日(木) 物欲メガネ

これは改造人間の手術だ。レーシックを受けながら、そんなことを考えた。

目の周りをイソジンで消毒されたり、睫毛をテープで貼られたり、あらあらと思っているうちに瞼を固定され、目薬さしますー消毒液ですー水で洗いますーと液体をぼとぼと落とされながらも瞬きひとつできず、指示どおりに目の前の赤い光を凝視していたらいつのまにか角膜を切られていて、べろんとめくられ、照射が始まり、もう少しだから我慢してねーと言われてしばらくすると本当に終わり、切り取った角膜を戻されてしばらくするとぼやけていた赤い光がはっきりくっきり見えて、おおおと感激したところで終了。両目で半時間ほどの改造人間手術だった。

しばらく横になって安静に、と言われてベッドに寝転んだが、とにかく目の奥がじんじんと染みて、耳に響く。暗闇から突然眩しいところに出されて無理矢理目を開けようとしたときに感じる痛みが、ずっと続く。目を開けられない。涙が止まらない。鼻も詰まってくる。私は痛みの感じ方がきつかったようで、病院を出られる状態までになった頃には、手術を受けた他の患者は誰もいなくなっていた。

術後3日は特に注意が必要らしい。感染防止のため外出時につけるサングラスと、無意識のうちに目をこすらないよう就寝時につける眼帯を渡される。これをつけなくなったとき、本当のメガネフリー人生が始まるわけだ。さらばメガネ。

今使っているメガネのフレームは姉にあげるつもりだったが、いざとなると惜しくなってきた。ツルの部分が気に入って買ったフレームで、髪をアップにするとツルのデザインがよく見えて、結構好評だった。

しかし姉は髪をあげない。不器用なのでアップにできない。このデザインが髪に隠れっぱなしになるかと思うと、度無しのカラーレンズを入れてサングラスに仕立て直した方がフレームも喜んでくれるんじゃないか、という気になってきた。我ながら、つくづくケチな性格だ。この物欲が部屋を散らかすと分かっているのに。

7月25日(金) 美人は損か

鏡に映る自分の顔に、まだ慣れない。コンタクトを入れた自分の顔が映っているのだけど、コンタクトは入れていない。術後検診では、両目とも1.5見えていることがわかった。1.0出ない可能性もある、と散々びびらされていたので、順調ですねーと先生に笑って言われたことで安心できた。

この先生を見ると、ブロンド伝説や巨乳伝説を思い出す。ブロンド女や巨乳女はおばかである、というアレだ。正直なところ、この先生が執刀医と知ったときは不安になった。若すぎる。しかも美人すぎる。

美人医師がメディアでもてはやされている今、なんでテレビに出てないのか不思議なくらいの美人だ。出勤時間にちょうど出会わしたことがあるが、雑誌の25ansやGINZAを思い出させる服を着ていて、似合っていた。美人が有能な医師であることに何の矛盾もないのに、私は不安になった。

しばらく考えて、天が二物を与えたことに対する嫉妬なんだと気付き、美人に執刀してもらえる幸運を喜ぶべきだと考え直した。私は美人が好きなのだ。最近、周辺の美人度がぐっと落ちているので、美人有能医師で周辺美人度を少しだけ上げておきたい。執刀してもらうことによって、もしかしたら美人度のお裾分けがあるかもしれないし。(ありません)

7月26日(土) ささやか生活

マンションの定期点検がやってきた。提出したのは1点だけだったが、実はアレも気になってるしコレも気になってて……と挙げてしまい、結局、メンテ対象は5点に増えた。最初から些細なことも気になる点は出しておくべきだったと反省。

他人がくれば、犬が吠える。抱きかかえておけば黙っていてくれるが、おろすと途端に吠える。怒っても吠え続けるし、宥めても聞いてくれない。ふてぶてしいかと思えば臆病なところもあり、まだ性格がつかみきれない。でも、まあ、仕方がないか。一緒に生活し始めてからやっと3カ月目に突入したばかりだ。

私を怖がらなくなるまでに1カ月かかった。最初の頃は、いつも預けられていた時のように、元の飼い主が迎えに来てくれるのを待っていたのだと思う。散歩に連れていこうとするたびに粗相をしたのは、慣れない私に触れられるのが恐かったからだと、今では思う。私がクレート内に入るだけで粗相をすることもあった。散歩もボール遊びも喜んでするくせに、と傷つきながらも粗相を片付けた。

1カ月がたった頃、突然、粗相がなくなった。散歩に連れていき続けた成果か、おやつをあげ続けた成果か、私のことを怖がる相手ではないと理解したのかは分からない。2カ月がたとうとした頃、突然、トイレを成功するようになった。それまでは5割の確率で失敗していたのが、急に100%になった。

最近になって、やっと、自分の犬という感覚が出てきた。粗相し続けていた頃は、他人から預かった犬という感覚が抜けきれないでいた。犬のほうも、同じだったのかもしれない。互いの生活に馴染みだし、やっと一人と一匹の生活が始まったような気がする。

せっかく犬を飼っているのだから飼い主バカにならなくては、とりあえず携帯の待ち受け画面を犬の写真にしよう、と思ったのに、久しぶりに使おうとした携帯電話のカメラ機能は壊れていた。何も映らない。なのでデジカメで写真を撮る。

こうして寝ていてくれることが一番の幸せという私の生活って、一体……。

7月27日(日) 後悔

レーシックを受けてから4日目。今晩から就寝時の眼帯は必要なくなる。メガネもコンタクトもない生活に慣れてきていいはずだ。なのに慣れない。ソフトコンタクトを24時間入れているような気分で、よく見えるまま寝ることが落ち着かず、よく見える状態で起きることに違和感を覚える。

後悔もしている。もっと早くに受けておくべきだった。8歳の頃から、視界がぼやけていることが当然の生活を送ってきた。メガネもコンタクトも日常の一部だった。ぼやけてて当たり前でいいと思っていた。でもそれは、本当に美味しいモノを知らない人が、美味しいとか美味しくないとかはただの贅沢だ、というようなものだ。0.03のぼやけた世界から、1.5のくっきりはっきりした世界に移り住んだ気分だ。

そんなわけで、レーシックを受けようか迷っている人には、術前術後のちょっとした煩わしさを我慢するだけの結果がかなり高い確率で得られるから、ちゃちゃっと腹をくくることを勧めたい。受けた後、もっと早くしておけば……と、20人中19人は思うはずだから。

7月28日(月)脳天気

久しぶりに雨がたくさん降って少しは涼しくなるな、雷を怖がる犬じゃなくてよかったな、でも洗濯物が干せなくて困っちゃうな、散歩に行く時間までにはやんでくれないと困るんだけどな、とのんきに過ごしている場合じゃなかったようで、夜のニュースで各地の被害を知ってびっくりした。日中はテレビを見ないしラジオも聞いていなかったので、警報が出ていたことも知らなかった。

天災は恐い。朝は、一日中晴れだという天気予報だったのに、午後からは警報が出るくらいの大雨になったなんて、こんな流れにはついていけない。今回の被害には直接関わることがなくてよかったものの、いつ巻き込まれるか、分かったものではない。阪神大震災で、私の家は大丈夫だったけれど、歩いて10分たらずのところに住んでいた友達の家は半壊した。

やっぱり非常袋は用意しよう。一人だったらどうにかなる、と以前は思っていたけれど、一人と一匹になってしまったことだし。