鉄人道2005
プロローグ;大会前
May 20 カーボパーティー; 選手登録を終えた後、中央公園へ向かった。会場には多くの有名選手がいた。去年の優勝者ピーター・クロプコ、アテネ、シドニーオリンピック出場の西内 洋行、去年アイアンマン・ジャパン4位、河原 勇人、88年アイアンマン・ハワイ9位、宮塚 英也、そして02、03アイアンマン・ジャパン2連覇、田村 嘉規。そうそうたる選手達が集まりパーティーは始まった。
選手にサインをもらう人はあまり見かけなかった(近づいてはいけないオーラが出ていたような…。)が、俺はもらいに行きました。
May 21 大会前日、バイク、ランシューズを各トランジッションエリアに預け、大会にそなえる。夜、ちょっと体調が悪い、鼻水がでて、のどの調子が悪い。チョイ風邪かも…。不安になるので体温は測らなかった。多分微熱だっただろう。薬を飲んで早めに寝た。『ドーピングにはひっかからないだろう。というより検査される成績でゴールできるのか?イヤ待て、成績云々より完走できるのか?…。』不安が不安をよび、なかなか寝付けない、だいたい1,2時間おきに起きては、水を飲み、また寝てを繰り返した。
May 22 大会の朝、妻が運転する車の中で、マイテーマソングであるWe Will Rock You を聞きながら富江に向かった。そのときは雨は降ってはいなかった。
最終登録を済ませ、大会にのぞんだ。
第1ステージ;スイム 3・8km
気温17℃、水温18℃、気温と水温がだいたい一緒なので、スイムが終ったら寒くなると予感した。その予感は的中することになる。
入水チェック、ウォームアップをして海に入る。ポジションは、集団から離れた一番前、つまり一番左の最前列、を確保した。『ここなら泳いでるときに叩かれたり、蹴られたりしないだろう。』と、タカをくくっていた。
誰かの一声で、みんなの気合いが入る。『絶対、完走してやる!』まもなくプァーン!が鳴った。一瞬、『何?!今の…。』と周りを見渡すと、みんなバシャバシャやってる!
《まんじー、曰く、カマスに追いかけられているキンナゴ!》
《我、思ふ、養殖の餌付け…。》
スタートだった。『あ〜ぁ2秒ぐらい遅れた。』などと思いつつ泳ぎ始める。
しばらく泳いでいると後ろから追いつく者、俺に追い抜かされる者、がたくさん見えてきた。集団に呑まれたのである。『やっぱりか!』と思いつつ懸命に水をかく、集団の中で何回も叩かれ、蹴られしながら、俺も負けじと何人か沈めた。途中で平泳ぎの選手がいた。集団の中で邪魔だったので、叩きました。変な動きをしてる奴がいるぞ!よく見たら背泳ぎだった。2周回目に入り、泳ぎ出す。正直、うんざりだった。足は使わずに腕だけで泳いでいたのに何故か足がつる。『なんで?』寒いという感覚がなかった。それでもどうにか泳ぎ切った!
スイムラップ;1時間52分
第2ステージ;バイク 180・2km
スイム終了時点で後ろを振り返ると20人もいなかったような…。時間いっぱい使おうと思っていたとはいえ、さすがにヤバイ、急いで更衣室へ向かうと中にはまだ何人か選手達がいたので、少しでも順位を上げておこうと急いで着替えた。というよりウェットスーツの下はウェアを着ていたのでウェットスーツを脱ぐだけだった。これはさすがに速い。が、寒い!バイクシューズを履いていると、備え付けのゴミ箱に嘔吐してる選手がいた。『大丈夫か?!』などと気にはしてみたが、人のことより自分のことが大事だったのでお先に失礼!
外へ出て自分のジロ・で・チネリ号(いや、なに、ヘルメットがGIROなもので…。)を探す。預ける時に位置を確認していたにもかかわらず、どこに置いたか迷ってしまった。『まさか、他の選手が…』なんてことはなく、以外と下暗しな場所にあった。富江を後にし、得意のバイクで果敢に攻めるつもりだったが、寒さで肩と腰にくる。ハンドルを握る手がガタガタ震えているのがわかった。交差点やカーブでスリップしないように慎重に走る。
幾久山山岳地帯
『よっしゃ!得意の下りだ!』とは意気込んだものの『うひゃ〜!こえぇ〜』でもそこは道を知っているジモッティーなので、そこでまた何人か抜きました。晴れていたら、特攻の拓バリに攻めていた。…無敵だぜ!多分
周回TTコース
いつもの練習はこのコースでしてました。荒川のエイドは親戚一同なのでいいとこ見せておこう!
岐宿を通過すると地元選手の看板が出ている。みんながんばれ!俺はいっぱいいっぱい!などと思いながら三井楽へ…。ふるさと館の前では、三井楽町、職場あげての盛大な応援に応えつつ、いっぱいいっぱいだったが、余裕の表情!なぜなら我が妻、長男が応援していたからだ!家族の、そして町内、職場の応援が嬉しかった。
まんじーのテポドン号に煽られつつ周回タイムは1:20前後
バイク最大の難所はやはり荒川〜二本楠の3kmの登りだろう。エイドでは、ありもしない牛乳とか、煙草とかねだってみました。冗談です。GONメンバーの応援を受けて登る。トコトコ…。なにやら聞き覚えのある音だ。カドジュン・セロースペシャル(グフ仕様)だった!ドラフティングを取られないかとヒヤヒヤしながら登り切った。
思ったことだが、下りは足を休めるとこなのか?!いや、俺はティがう、みんなが足を休めているところを刺す!これまでに下りで何人刺したことか…。そして平地で、登りで何人に刺されたことか…。
バイクフィニッシュ;7時間07分
第3ステージ;ラン 42.2km
バイクが終り、ランへと向かう。『エリートはもうゴールしてんだよな…。』とか思いつつ走り出す。フルマラソンは35km地点で足にくる。そう聞いたことがあったが、すでに3km地点ぐらいから足にきていた。足をかばいながら、ペースをいつもより落とし、慎重に走る。各エイドで歩き、カンコロ餅、丸ぼうろ、黒棒、梅干しをほおばり、走り続けた。1週目、崎山で鉄人川谷さんに追い抜かれる。『周回された〜』そのときの会話、(川)「まさか、1週目じゃなかよね…。」(マツ)「…1週目です。(汗)」『さすが速かね』
写真の時点ではまだ元気(走れた)、家族が応援していて、元気がでた。『あと夕焼けコース!』またうんざり病が出る。しかし、ゴールで家族が待っていると自分を奮い立たせ、走る。
野々切付近で19:00を廻っていた。なんとか21:00までにはゴールしたい。足が重い。走っては歩きを繰り返した。崎山で、足首にエアーサロンパスをしようと椅子に座っていたところに、カドジュンさん(グフ仕様)がやってきた!ヘタッているとカンチGUYされた。…いいわけではなかったのだが、いいわけ通じず。
再び走り出す。長手付近からまんじーがMTBで伴走してくれた。これまで落ちていたペースが少し戻る。もう少しでゴールだ!36km地点の表示がうんざり病を再発させた。
大津、八幡神社付近から職場の上司が、がんばれと、伴走してくれた。嬉しかったが、五島高校が見えてきた時点で、上司が息を切らせ、大汗をかいていた。応援されている俺が逆に「大丈夫ですか?!」と心配していたことには泣けてきた。
最終ステージ;フィニッシュ
五島高校女子寮前のチアリーダーズはもういなかった。まぁそんなことより、あと数百メートルだ!最後の力を振り絞る。石田城に入りビクトリーロードを進む。すでにフィニッシュした選手達に「おつかれさん」と声をかけられながら、家族を探す。妻子を見つけ、長男を抱きかかえ、妻と一緒にフィニッシュへ向かった。フィニッシュの観客の多さに圧倒されながら、そして、みぼP、なおPの乱入をうけ、フィニッシュ!まさに感動の瞬間だった!
ここ1年、休みという休みを費やし、家族サービスもろくにせず、トレーニングに明け暮れる俺を支えてくれた家族には感謝してもしきれないぐらい感謝した。全てが報われた。
『燃え尽きた…。真っ白になぁ』
ランラップ;5時間34分
総合14時間33分56秒
順位639位/811人
後日談
May23 アワードパーティー; 昼間のうちにバイクを取りに行ったり、完走証と取りに行った。過去これまでにない筋肉痛にびっこ引いていた。
夜はパーティーで表彰式があり、エリート選手やエイジ入賞者が壇上に上がり表彰をうけていた。
今回、最長齢70歳の選手のタイムに負けたのが悔しかったが、俺も“鉄人”みんなが勝者!また来年に向けてトレーニングを再開しよう。来年は、2時間短縮!…できたらいいな。
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