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 ◇「ターン」 北村薫 (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。

 3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人の他誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻が来ると一日前の座椅子に戻ってしまう。

 ←→ターン。いつかは帰れるの?

 それともこのまま……だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

+-+- 感想 -+-+

 温かいなぁと思う。

 純粋に。ただしその温かさは強くて、そしてその強さは時としてすごく残酷なような気がする。だから温かくても安心するにはちょっと勇気が必要とする。

 「ターン」にそんなイメージを持った。

 

 「時」という概念をどう人は捉えればいいのだろう。

 難しいけど、普通に考えれば、それは最初から答えは定まっていたような気がする。

 主人公の真希がその答えをどのようにして、見つけ出したのかその過程を丹念に、ゆっくりと描いた北村薫の筆力に唸らされた。

 

 読了後は温かな気持ちになった。

 この作家の素晴らしいところは「温かい」と感じられることかもしれない。

 

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