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 ◇「辺境・近境 写真篇」 村上春樹・松村映三 (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 エイゾー君が撮った、もう一つの「辺境・近境」。ハルキさんが中国の動物園で抱いた虎の子も、草原の狼も、打ち捨てられた戦車も、ゴールドラッシュの夢の跡も、エイゾー君が石を投げられたメキシコの村も、みんなここにあります。

 

 「裏庭で太い薪をごつごつと割る鉈みたいな」写真が、村上春樹のタフでファンキーな旅のすべて、文章とは一味違う作家の旅の醍醐味を見せてくれます。

+-+- 感想 -+-+

 彼が「辺境・近境」で訪れた土地を同行した写真家、松村映三が撮った写真集。とてもよく村上春樹の雰囲気を写真で出せているなと思う。

 僕たちが村上春樹の旅行記から、得たインスピレーションのようなモノをその写真集は程よく具体的なイメージとして、表現していた。特にモンゴルの写真は、僕が村上春樹の文章で深く揺さぶられたのと同じくらいに衝撃的なものだった。

 

 誰の中にも多種多様な感想を持たせるだろうと思う。

 文章と映像、この二つの異なる情報により、彼らの訪れた土地は、実際訪れる以上に僕にとって、身近な存在として、感じられた。これは実際自分たちが訪れた土地よりも、多くの価値や感想が付与され、彼らの感動が自分も感じられたためだと思う。旅行をするよりも、旅行ができる本。僕はそう、感じた。

 

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