彼が「辺境・近境」で訪れた土地を同行した写真家、松村映三が撮った写真集。とてもよく村上春樹の雰囲気を写真で出せているなと思う。
僕たちが村上春樹の旅行記から、得たインスピレーションのようなモノをその写真集は程よく具体的なイメージとして、表現していた。特にモンゴルの写真は、僕が村上春樹の文章で深く揺さぶられたのと同じくらいに衝撃的なものだった。
誰の中にも多種多様な感想を持たせるだろうと思う。
文章と映像、この二つの異なる情報により、彼らの訪れた土地は、実際訪れる以上に僕にとって、身近な存在として、感じられた。これは実際自分たちが訪れた土地よりも、多くの価値や感想が付与され、彼らの感動が自分も感じられたためだと思う。旅行をするよりも、旅行ができる本。僕はそう、感じた。
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