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◇「光の帝国」 恩田陸 (集英社文庫) ◇
+-+- あらすじ -+-+
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから――。
「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ、不思議な能力があった。
穏やかで知的で、権力の志向を持たず、普通の人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。 彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか? 不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族を巡る連作短編集。
+-+- 感想 -+-+
初めて、恩田陸の作品を読みましたが、すごく感動した。最初の入りの短編でぐぐっと引き込まれ、最初は無関係に思われていたほかのエピソードが終盤の短編にて徐々につながっていき、最後の短編で大きくひとつの流れを作る。そんな構成の本だった。 優しくもあり、哀しくもあり、でもやっぱり優しい。そんな世界観が文章を彩ってた。「力」というのが一つのキーワードであるように思える。力を巡る流れ、そして、さまざまな過去に 縛られ悩んでいるあたりまえの登場人物たち。そして力を持つために生まれた悩み、そして戦い。色々なものがこの連作短編は詰まっていた。 不覚にも最後の方のエピソードでは泣きそうになるくらい感動…
生きるということは、かくも辛いことが含まれるのかと哀しい現実を突きつけられた感じだった。それでも前向きに生きるということの意義を教えられたような気がする。
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