宮本輝の作品初挑戦で、僕は完全に宮本輝の術中に嵌った。読みやすい文体と、ぐいぐいと読者を引き込む巧妙なプロットは流石と言うしかない。
ひょんな事から男二人女二人という奇妙な共同生活を始めるキャラクター達。誰にでも小さくそして根深い問題がある。そして共同生活によって、彼らはその問題を励ましあったり、支えあったりしながら、乗り越えていく。しかし乗り越えて、新たな局面になった時、「生きる」と言う事は四人の関係をそのまま維持させてはくれなかった。
読了後はもう僕としてはひどくその物語に引き込まれていたから、なかなかうまく抜け出せずに、呆然自失。切ないような、苦しいような、だけど生きるってこういうことなんだと思ってしまう、ある種のカオスの中に僕は存在した。「生きる」を重点に描いた青春小説なのかもしれない。
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