ジョン・アーヴィングと言えば、現代アメリカ文学の先頭に立つ作家だ。彼の自伝的小説なのだから、やはり小説に対する姿勢が伺えるだろうと思い、僕は読んだけど、その通りになった。
ただし、あくまで、「自伝的」小説なので、そのまま受け取るのも危険だけど、それでも、かなり僕にとって有益なものがあった。もちろん、作家を目指しているわけではないのだけど、文章の間にある行間、そしてテーマなどなど、読書好きの人間に、興味深いことがたくさん書いてあった。
純文学に分類できる作品だと思う。エンターテイメントとしても読めるけど、傾向としては純文学だ。そして、ガ―プの生き様と、それにまつわるエトセトラが、非常に生き生きと描かれていて、ガ―プが生まれてきてからのシーンからはずっと引き込まれっぱなしだった。
「欲望」の欠落させた女性に育てられたガ―プはかなり独特な人間になっていたけど、彼とそしてその母ジェニーの生き様は必死であり、不器用なのだけど、とても誠実であった。書くことにより、自己を表現し、そして商品にするまでの苦悩も垣間見れた。
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