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 ◇「永遠の森―博物館惑星―」 菅浩江 (早川書房)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館――<アフロディーテ>。

 そこには、全世界のありとあらゆる美術品、動植物が収められている。

 音楽・舞台・文芸担当の<ミューズ>

 絵画・工芸担当の<アテナ>

 動・植物担当の<デメテル>

 女神の名を冠した各専門部署では、データベース・コンピューターに頭脳を直接接続させた学芸員が、収蔵品の分析鑑定・分類保存を通して、「美」の追求に勤しんでいた。

 そんな部門間の調整を司るのが、総合管轄部署の<アポロン>。

 日々、搬入されてくる物品にからむ、様々な問題に対処する中で、学芸員の田代孝弘は、美術に関わる人々の想いに触れていく……。

 至高の美とは何か?

 美しさを感じる人間の感情とは?――

+-+- 感想 -+-+

 とても綺麗な世界だった。

 そこには夢があり、人々があり、そして信じるという強さがあった。

 博物館惑星は文化の結晶であるのを証明するかのように人々の心を捉えて離さない。

 気が付いたら、すっかり僕は夢中にそして、時に涙した。

 

 綺麗な世界観が脳裏に浮かぶと、そこはいつも桃源郷だった。

 加速度的な科学の進歩の中で、永遠の「美」がもたらす息苦しい世界からの解放感。

 たぶん、僕たちが忘れそうになっている大切なものがここにはたくさんつまっていると思う。

 

 ゆっくりと、自分の大切な人を見つめる時間。

 美を理論無しで愛でる時間。

 人の夢を信じる強さ。

 

 そういう綺麗な桃源郷がこの本の中にはあった。

 ロマンチックな一冊!

 

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