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 ◇「ライオンハート」 恩田陸 (新潮社)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 それがどうして始まったのかわからない。

 神の思し召しなのか、気まぐれなのか、手違いなのか。

 わたしたちは何度も出会っている。結ばれることは無い。でも、離れた瞬間から、会う瞬間を待ち続けている――生まれる前も、死んだ後も。

 あなたを見つけるたびに、ああ、あなたに会えてよかったと思うの。いつもいつも。会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えているの。

 いつも、うれしかった。覚えていてね。

 わたしのライオンハート。

+-+- 感想 -+-+

 ハートフルな物語だった。

 哀しみが常にまとわりつきながら、出会いを螺旋に繰り返し、その二重螺旋の交差する一瞬だけをお互いずっと待ちつづけながら、その一瞬だけのために、絶望と希望の狭間で二人は生き続ける。

 

 二人はなぜ、運命的に出会うのだろう?

 なぜ、二人でなくてはならないのか?

 多くの謎を内包しながら、物語は二人の運命を綴っていく。

 

 泣けてくるような物語だった。

 一瞬ために、そして相手のことを思う気持ちが…

 切なすぎる。

 恋愛小説として、そしてファンタジーとして、この本は絶対傑作だと言い切れる。

 

 追記:本のタイトル「ライオンハート」はケイト・ブッシュのセカンドアルバムのタイトル名です。日本では売られていません。残念ですけど。ケイト・ブッシュの伝統的なUKロックとハスキーボイスが楽しめるので、是非、ファーストアルバムの「Kick Inside」(邦題名天使と小悪魔)を聞いてみると、感慨も一段と増します!!

 

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