現代のホラー(?)である。
「本所深川ふしぎ草子」が時代小説で幽霊を描いたのなら、こちらはその現代版。
しかし、連作短編というわけではなく、短編である。
個人的には「いつも二人で」という短編に非常に感動した。
とにかく、戸惑い、そして理解、後悔などの様々な感情を一人の人間を器にして二人の心の葛藤、ぶつかり合い、理解、融合などを非常に楽しめた。最後の終り方も意外だったし、ちょっと哀しかった。
あとは、「私の死んだ後に」も良かった。
壊れていた人間の再生の記録でもあり、心の触れ合いが非常に温かかった。
誰かを思う気持ちがこれだけ人を助けるんだと思ったし、心の戒めがどれだけ人を苦しめるのかも良くわかった。しかし、主人公には良かったのかもしれない。「彼女」に会えたのだから…
現代のホラーをうまくアレンジして、これほどに温かい物語を作れる宮部みゆきに脱帽。
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