ミステリである。
すごくほんわかできて、かなし切ないミステリ。
たとえるなら、北本薫などはこの部類に入るかもしれない。
人生の中で引き起こされる様々な出来事は姿形を変えて、ミステリとして人に物語るのかもしれない。
表題作「いちばん初めにあった海」と「化石の樹」はどちらとも人にとって非常に深く関わりあう自然、つまり「海」そして「木」を焦点にしているのにも興味深い。
自然へのコミットメントというメッセージを持っているとも考えられる。
生と死の狭間で揺れ動く心。
生きることに真剣なために戸惑い、傷つき、そして周りの人によって、そして何より自分が傷に対して打ち勝つことによって、再生されていく主人公たちの姿がとても胸をうった。
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