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 ◇「カレンダー」 ひこ・田中 (講談社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 通り過ぎていく人、いつもそばにいる人、途中で消えてしまう人……。

 大人ってやつは、みんな心に痛みや屈折を抱えているらしいよ。むつかしいもんや。

 じい、ばあ、私の家に突然居座った一組の男女――十三歳の少女が見つめた名字が全部違う不思議な家族の物語。

+-+- 感想 -+-+

 十三歳の翼は翼らしい価値観と若さで、様々なまわりで起こる事に対し、処理し、考えていく。大人ではないけど、子供と言うには大人すぎる十三歳という年齢のときに、彼女と祖母の二人暮しの家に一組のカップルがもたらした小さくはない変化という風。

 祖母・海・翼の三人がそれぞれ初老、20代、10代の感性で、世の中を見つめつつ、自分の生き方を模索する。

 

 自分の出生の秘密。

 まわりの大人の生き方に対する思い。

 そして何より自分自身の生き方について。

 彼女たちは彼女なりの悩みを抱え、そして過去の傷や現在に対処している。

 恋愛色は薄いけど、この時期の悩みをうまく描いていると思った。

 

 主人公の語り口…つまり大阪弁に慣れれるかどうかはわからないけど、僕は最初は鼻についたが、結局はこの大阪弁が主人公の勢いのある性格に良いアクセントをつけていると思った。少女の瑞々しい感性と、どこか大人びた現代の若者の特徴をうまく描いていると思う。

 

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