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 ◇「図南の翼」 小野不由美 (講談社X文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 恭国は、先王が斃れてから、二十七年。

 王を亡くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んだ。

 首都連檣に住む珠晶は、豪商の父を持ち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。

 

 しかし、その暮らし振りとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女は、王を選ぶ麒麟に天意を諮るため、ついに蓬山を目指す!!

 

 珠晶、十二歳の決断。

 「恭国を統べるのは、あたししかいない!!」

+-+- 感想 -+-+

 天真爛漫な少女ではあるが、その幼さのため、色々、理不尽であることへの直接的な反応をしてしまう。

 しかしながら、少女の胸のうちには秘められた思いと祖国を愛する気持ちがあった。

 

 少女でありながら、その運の強さと誰も気を引いてしまうその存在感で他を圧倒し、気の良いお兄さんと頑迷な黄朱を引き連れて、彼女は一路、蓬山へ!!

 

 しかし、蓬山に行くまでの道のりはそれでもなお遠く、少女の胸に様々なものを投げかけた。襲いくる妖魔をなんとかやり過ごしながら、大人と子供の狭間で苦悩する珠晶。

 

 その内面を非常にうまく描写しながらも、黄海の断面を非常にうまく描ききったと思う。

 

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