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 ◇「初ものがたり」 宮部みゆき (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 鰹、白魚、鮭、柿、桜……。江戸の四季を彩る「初もの」がからんだ謎また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」こと岡引の茂七が、子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。

 

 夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司屋の親父、霊力を持つという「拝み屋」の少年など、一癖二癖ある脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感に溢れた時代ミステリ・ワールド。六編収録。

+-+- 感想 -+-+

 茂七親分。

 温かく、そしてどこか子供っぽいその姿はとても好感が持てる。

 手下の糸吉や権三もいい味出していたけど、やはり今回の最大のキャラは稲荷寿司屋の親父さんだろう。

 過去も一切わからないけど、どこか悲哀をたたえた親父さんの姿は非常に宮部ワールドの世界を具現化していたように思える。

 しかも、料理のうまい腕の立つ稲荷寿司屋ってかっこいい…

 「拝み屋」と「稲荷寿司屋」の二人がこの連作短編の横のつながりを持たせ、同時に大きな謎を提供しているところがさすが「宮部みゆき」と思った。

 

 江戸っ子たちの温かい人情とそして日常をうまく描き、それぞれ旬のモノを話題にして、江戸の四季を強く感じさせる作品構成だった。ついつい、稲荷寿司屋が、僕の近所にもきてくれないかなぁと思い、外を眺めてしまいそう。

 

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