茂七親分。
温かく、そしてどこか子供っぽいその姿はとても好感が持てる。
手下の糸吉や権三もいい味出していたけど、やはり今回の最大のキャラは稲荷寿司屋の親父さんだろう。
過去も一切わからないけど、どこか悲哀をたたえた親父さんの姿は非常に宮部ワールドの世界を具現化していたように思える。
しかも、料理のうまい腕の立つ稲荷寿司屋ってかっこいい…
「拝み屋」と「稲荷寿司屋」の二人がこの連作短編の横のつながりを持たせ、同時に大きな謎を提供しているところがさすが「宮部みゆき」と思った。
江戸っ子たちの温かい人情とそして日常をうまく描き、それぞれ旬のモノを話題にして、江戸の四季を強く感じさせる作品構成だった。ついつい、稲荷寿司屋が、僕の近所にもきてくれないかなぁと思い、外を眺めてしまいそう。
|