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 ◇「自閉症だったわたしへ」 ドナ・ウィリアムズ (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 わたしってそんなに「変でおかしな子」なの?

 幼い頃から、周囲の誰ともうまく付き合うことが出来ず、いじめられ、傷つき苦しみ続けた少女――。

 家族にも、友達にも、学校にも背を向け、たった一人で自分の居場所を求めて旅立った彼女が、ついに心を通い合わせることができる人にめぐり合い、自らの「生きる力」を取り戻すまでを率直に綴った、鮮烈にきらめく、魂の軌跡の記録。

+-+- 感想 -+-+

 自閉症――。

 この言葉の意味するところを正確に把握している人はどれだけいるのだろうか?

 学術的な事はわかっても、自閉症当人との実感との間にはやはり大きな差があると言わざるを得ない。

 

 大きな誤解を生みやすいこの自閉症を正確に理解するためにはこの本は必読だろう。そして自閉症の人を励ますために出版されたこの本は、同時に僕たちの心の闇を照らし出し、そして大いなる未来への勇気、そして希望をもてる本となっている。彼女は人の不安や自分だけの世界といったものの表現が非常にシンプルでかつ繊細に表現しているため、僕にも同感できるところがたくさんあった。

 そして社会の問題点、僕たちの意識の問題も深く考えさせられた。

 

 ドナの心は常に揺れ動いているけれど、周りの人間に支えられ、自分の足で立とうと努力している少女だ。その姿だけでも僕に大きな勇気を与えてくれる。

 僕たちももしかすると自分のウィリーと自分のキャロルがいて、そして自分自身を忘れているのかもしれない。ちょっと立ち止まり自分自身を省みるきっかけを与えてくれる本だと思う。

 

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