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何も見えない。目の前に白い闇が広がっていた。
ホワイトアウトだ。
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人はそれぞれ自分の中にホワイトアウトを持っているような気がする。何も見えないし、すごく息苦しい。そこでうずくまりたい気持ちにさえなってしまうような存在。そんなすごく重たいものを誰でも背負っていると思う。そして主要登場人物達もそれぞれに自分自身の中のホワイトアウトを背負っていた。福島の山の中で繰り広げられる救出劇と平行して、主人公は必死でただ助けよう、生き残ろうとした。
叙情的な表現は皆無だった。しかし緻密で映像的な叙述描写が半端な叙情的表現よりもずっと人の感情を表現する。そのことをすっごく実感させてくれた。人々の心の闇、そして実際の白い雪の闇、そのホワイトアウトに立ち向かうキャラクター達の姿が心に響く。
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