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 ◇「ぶたぶた」 矢崎存美 (徳間デュアル文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 大きな耳の生えたピンクのバレーボールが、とととと……と階段を駆け下りてゆく。右耳が少しそっくり返り、つぶらな目は黒の点目。何だあれは、ぶたのぬいぐるみっ!?

 そう、彼は生きているのです。

 彼の名前は山崎ぶたぶた(性別♂)。

 歩き、喋り、食事をし、見かけによらず仕事は優秀。

 そしてなによりもの特徴は、とっても可愛いこと。

 タクシーの運転手、フランス料理のコック、サラリーマンなどなど、様々なシチュエーションでぶたぶたと出会ってしまった人間たちの姿と心の動きを描いた連作短編。

+-+- 感想 -+-+

 のんびりと、ほのぼのとした気持ちになれる小説ってどれほどあるのだろうか?

 僕はそんな小説はフォーチュンクエストぐらいしか思い浮かばない。

 もっとも、それとはまったく違う設定だし、物語だけど、読んでいるだけで、気持ちがとても安らぎ、そしてほのぼのとした気持ちになれるのはひとえにぶたぶたのその姿と誠実な人(ぶた?)柄であろう。

 

 現代社会ってとてもストレスの溜まる社会だけれど、そんな社会に産み落とされたぴんくの桜色したぶた一匹に、彼と出会った者は例外なく惹かれ、そしてあるがままの素直な自分の中のぶたぶたを思い出す。

 うまく同化できない他人と社会。

 しかし、僕たちにはぶたぶたがいるじゃないか!

 そう、大声で主張したくなるほどに、ピンクのバレーボールは愛らしく、誠実で、そしてほのぼのとしていた。

 

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