人気作家宮部みゆきのデビュー作。
このデビュー作でも現在の宮部みゆきの作風に通じるところがある。
社会派ミステリとして高校球界のみならず、マスコミ、薬剤などの問題にスポットを当てていた。そしてその問題の前に苦悩する登場人物たち。
その苦悩を非常にうまく事件に埋め込んだのはさすが宮部みゆきと思う。
もっとも、事件の背景をかなり早い段階で書いたのは、それなりに相手に社会問題を意識してもらいたいからだろうし、最後のどんでん返しを効果的に引き出させるためだろう。
それにしてもこれだけのミステリを、魅力的なキャラクタたちが躍動するのはやはり見ていて気持ちがいい。特にマサが活躍するシーンはアクション小説も真っ青のシーンだった。
現在の宮部みゆきの原点がここに詰め込まれているような気がする。
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