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 ◇「未明の家」 篠田真由美 (講談社ノベルス)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 『黒死館』、雷鳴と月、ゴヤ――探偵小説好きの心をくすぐるジグソウの断片が謎の中空を舞い、一つの魅惑的な絵を現出する。 By 北村薫

 

 “閉ざされたパティオ”を持つ黎明荘の主、遊馬歴の不可解な死――そして一族を襲う連続殺人の意外な真相とは!?

+-+- 感想 -+-+

 まず、魅力的なキャスティングである。

 顔を前髪で隠す探偵。見たものの記憶力が非常にある助手。行動派で、フットワークの軽さと世界の知識に溢れた友人。三人とも強力な個性を発揮する。もちろん、最大の個性は前髪で顔を隠している探偵だ。昼夜逆転しているこの建築探偵は、かなり性格がざっくばらんに、マキャベリズムを具現しているが、それがまた心地よいと思う。

 

 もちろん、「当事者側」も魅力的だ。

 犯人候補が絞られている中で、かなり犯人を推量するのに二転三転するだろう。

 バラバラに提示される事件の真相のかけらを拾い集め、建造物に込められた祈りを、探偵は鮮やかに解く。その手際のよさと秘められた伏線に舌を巻く思いだ。

 しかも、その提示される素材が、なかなか読み手を唸らせる魅力的なものなのだ。一体、これはどんな意味を表しているのだろう。首を何度もひねらざるえなかった。

 

 魅力的な登場人物からわかるとおり、シリーズとしても十分やっていける素材だと感じた。

 

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