まず、非常に綺麗な世界観である。
満天の宙。色彩豊かな鉱石。美麗な少年たち。
特に、鉱石の描写が素晴らしい。色とりどりの石が少年たちの前に現れる。
しかし、綺麗な世界観だけではない。
配給制一歩前の食料状況は濃い影を落としている。
少年たちの非常に強い綺麗な心も見逃せない。
しかし、これも世界観と同様に、綺麗なだけではない。
少年らしい無邪気な中にある無鉄砲さや残酷さもちゃんと描かれている。
特筆すべきなのは水蓮との友情、兄とのジレンマ、そして水先案内人のように現れる謎の少年とのめぐり合いが非常に複雑に絡まりあって、銅貨を中心に進んでいくところだろう。半年ほどの間に、少年たちはゆっくりと、けれども、変化の幅としては大きく、成長していく。
しかし、すべてが成長するわけではない。
変わっていくモノと変わらないモノ。
少年たちはその違いに戸惑い、生きていた。
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