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 ◇「天体議会」 長野まゆみ (河出文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 水蓮との友情。

 兄との確執。

 自動人形と噂される謎の少年との不思議な出会い。

 打ち上げられるロケット、降り注ぐ流星、夜空に輝く星々を眺め、少年たちは毎日を生きる。

 少年たちを乗せた船は、南へと出港したのか?

 兄を想う少年、銅貨をめぐって、星の少年たちの孤独を描いた、長野まゆみの「星の王子さま」――。

+-+- 感想 -+-+

 まず、非常に綺麗な世界観である。

 満天の宙。色彩豊かな鉱石。美麗な少年たち。

 特に、鉱石の描写が素晴らしい。色とりどりの石が少年たちの前に現れる。

 しかし、綺麗な世界観だけではない。

 配給制一歩前の食料状況は濃い影を落としている。

 

 少年たちの非常に強い綺麗な心も見逃せない。

 しかし、これも世界観と同様に、綺麗なだけではない。

 少年らしい無邪気な中にある無鉄砲さや残酷さもちゃんと描かれている。

 

 特筆すべきなのは水蓮との友情、兄とのジレンマ、そして水先案内人のように現れる謎の少年とのめぐり合いが非常に複雑に絡まりあって、銅貨を中心に進んでいくところだろう。半年ほどの間に、少年たちはゆっくりと、けれども、変化の幅としては大きく、成長していく。

 しかし、すべてが成長するわけではない。

 変わっていくモノと変わらないモノ。

 少年たちはその違いに戸惑い、生きていた。

 

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