「魔術士オーフェン」の著者がミステリ&サスペンスに挑む。
これだけでも、かなり期待が持てる。
キャラクターもやはりどこかぶっ飛んでいて、特に論悟なんかはぶっ飛びすぎているが、ごく稀にマトモなことを言う。まぁ、彼の主人公って意外とそうかもしれないけれど。
閉ざされた空間で、視界はすっかり闇に支配されている。
恐怖のわくシチュエーションで、登場人物たちの個性が輝くのはさすが秋田さんと思った。
闇の中で描写が難しい中、心理描写も非常に巧みにもちいていたとも感じた。
徐々にクライマックスに従って、闇に支配されつつある精神。
膨らむ恐怖。
徐々に緊迫感が膨れ上がり、息もつかせぬままに、クライマックスを書き上げたその筆力には舌を巻く思いだった。個性的なキャラクタのため、そのキャラクタに合う合わないでかなり評価が変わると思うが、サスペンスとしての描写力は一流だと僕は思ったし、キャラクタも愛嬌があって、好きだ。
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