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 ◇「球形の季節」 恩田陸 (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。

 「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。

 やがて噂通り、1人の女子生徒が姿を消した。町中では金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた……。

 何かが起きていた。

 退屈な日常、管理された学校、眠った町。

 すべてを裁こうとする超越的な力が、今最後の噂を発信した!

 学園モダンホラー。

+-+- 感想 -+-+

 恩田陸は仙台生まれらしく、非常に東北の片田舎の描写がうまかった。僕自身、東北出身であったから、この舞台になっている町に非常に親近感を覚えたし、同時に、僕の田舎をも思い出させた。そういう理由があるからかもしれないけれど、この舞台設定の絶妙さに僕は何度も感心したり、納得したりで頷かされた。

 

 さて、ジャンルはホラーである。

 僕の苦手なホラーだけど、血が出てくるわけではないし、虐殺されるわけでもない。

 しかし、理由のわからない不安と日常の不安が非常に複雑に絡まりあうスタイルはホラーといってもいいだおる。

 この理由のわからない不安が徐々に自分自身にもフィードバックしていき、10代の頃の理由の無い怒り、不安、戸惑いなどを思い出させてくれた。

 

 平凡な日常、ゆったりとした時間、自分のアイデンティティ。

 様々な現実の前に、将来を意識し始めるこの高校時代をうまく描いていると感じた。

 ホラーであり、青春小説でもあるといえるかもしれない。

 

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