四篇の短編が収録された物語である。
個人的には競馬を題材にした「流れ星の夢」が好きだった。
新人騎手と謎に包まれた厩務員。
その交流から沸き立つミステリが、彼の成長に複雑に絡まりあっている。
発展途上の若者へ、その謎の厩務員は馬への情熱を込めて助言する。
なんともカッコいい…
また、「逆風」という名の短編も最後の最後に大どんでん返しをされる。
最後の二ページでこの作品への印象ががらりと変わってしまった。
読後感はその見事さに圧倒された感じだった。
ミステリの引っ張り方とそれに対する開陳の仕方が非常に絶妙で、爽快感さえ覚えた。
どれもこれも勝負師たちの悲哀のようなものを描いているという点では一致する。
そして真保裕一は、その悲哀さを見事な手綱さばきで一気に感動のフィナーレへと昇華させていった。
つくづくラストの盛り上げ方のうまい作家さんだなと思った。
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