初の物語集という事だけど、彼女独特の雰囲気がいかんなく発揮された物語集だと思う。
詩はもちろんのこと、つれづれノートなどの行間から溢れる彼女という気配はこの物語集でも健在だ。
彼女の鋭い感性が自分の深い何かと結びついているような、そんな気持ちになる。
16ある物語の中で「若草のつむじ」が僕にとって非常に印象の強い作品だった。
今ある自分というものに疑問をもつ青年と、現実を淡々と受け入れられる少女。
この二人はこう書くととても似ていないように思えるけれど、とても純粋に物事を考える若者として描かれている。そしてその姿が僕には非常に印象深かった。
そしてこの物語が紡ぎだす何気ない言葉が僕の胸を強く衝いた…
二人の自然体な姿。尊重しあう姿…
この二人が僕に忙しさの中で忘れていきそうになることを思い出させてくれたような気がした。
この本を読むと、自分がいつしかゆったりとした時間に身を置いていることに気づく。
彼女の詩や日記が好きな人には絶対オススメ!
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