児童文学というものはたぶん、大人は幾ばくかを失ってしまったもの、そして子供には失って欲しくないものを描いているような気がする。そしてこのミヒャエル・エンデの『モモ』はかなり日本人ならどきりとしてしまう内容だろう。
時間とは何?人はどう生きるべきか、どう感じるべきか。
様々な事を問いかけてくる。それは同時に子供達へのメッセージなのだろう。こう感じてはダメだ。こう生きてはダメだと…。そう声高に作者は叫んでいる。それは同時に社会への警鐘なのかもしれない。なぜ、この「モモ」が子供のみならず大人たちにも非常に支持されているのか、それはモモで登場する大人たちの、子供たちの描写が「モモ」の世界で非常にリアリティをもって訴えかけてくるからだろう。
児童文学の最高峰なのは疑いようがない。
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