京極夏彦やっぱり凄い…
そう、再認識させられる作品だった。
それぞれの人の描写から、徐々に物語を発展させていく方法で、それぞれの登場人物たちを描ききっている。
狂った思考、情念、諦観…
慄然とするほどの心理描写がすごい。
そしてその心理描写で確立された一人一人の個性が徐々に絡まりあっていく。
「四谷怪談」をモチーフに京極夏彦が純愛というスパイスを加味させた傑作だと思う。
怖くて、狂っていたけれど、その先にある透明な想いは最後の最後で昇華されていった。ホラー(怪談)であり、ミステリである、この本を夏に読んだのは正解だったと思う。寝苦しい夜、慄然とする展開に秋を感じさせるし、またちょっぴり夏の夜の短さに感謝をするからだ。
|