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 ◇「少年アリス」 長野まゆみ (河出文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 兄に借りた色鉛筆を教室に忘れてきた蜜蜂が飼い犬の犬丸を連れて、夜半友人のアリスの下を訪ねてきた。どうしても色鉛筆を持って帰らなくてはいけない蜜蜂たちは、夜の学校へ忍び込む。

 誰もいないはずの理科室で不思議な授業を覗き見た彼らは、教師に捕まってしまう…

 そうして、彼は不思議な光景を目の当たりにした。

 文藝賞を受賞した群青天鵞絨色のメルヘン。

+-+- 感想 -+-+

 長野まゆみの代表作と言ってもいいかもしれない。

 不思議な世界観。

 強くてもどこかもろい少年たち。

 綺麗な色をした様々なもの。

 長野まゆみの特徴的なものがほとんどうまい具合に溶け合っている。

 唯一ないのは、崩壊した世界観だけれど、これはそのような作風ではないから、当然の事である。

 

 タイトルどおり、どこか不思議の国のアリスを連想させるけれど、中身はまったく違う。

 あらすじを見てもらえればわかるけれど、夜の学校が舞台である。

 ただ、アリスは不思議な授業を受けるのだ。そこには奇妙な雰囲気の先生と生徒がいて、驚くべきものをつくっていた。困惑しつつもアリスはその授業を受けた。

 まわりとの疎外感を感じ始めた彼は親友を思い出し、自分の心と向き合おうとする。

 

 少年の透明感のある感性が、夜の学校と溶け合った非常に綺麗な作品だと思う。

 

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