これを児童文学と思い込んでしまうと、そのギャップに驚いてしまうかもしれない。
子供に、この物語の言葉が理解できるのだろうか?と思ってしまうからだ。
だから、この物語の児童文学性は、たぶん、大人の子供の心に訴えるものなのだろう。
大人の読む絵本みたいな、そんなものなのかもしれない。
物語は二つの世界で同時並行しながら進んでいく。
最初はその世界観に戸惑うかもしれないけれど、徐々にその二つの世界が絡まりあってくる。主人公の女の子の成長も見逃せないけれど、特筆すべきなのは『傷』の扱い方だった。最初は『???』って感じだけど、徐々にその言葉が僕たちにも重みを持っていく。
ファンタジーという世界観だけれど、その実は姿勢を正してしまうほどの厳しい現実の直視は非常に含蓄があり、大人たちへの警告でもあった。是非、児童文学という考えを捨てて、純文学的に読んでほしい作品だと思う。
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