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 ◇「東京下町殺人暮色」 宮部みゆき (光文社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 13歳の八木沢順が、刑事である父の道雄と生活を始めたのは、ウォーターフロントとして注目を集めている、隅田川と荒川に挟まれた東京の下町だった。

 

 その頃、町内では“ある家で人殺しがあった”という噂で持ちきりだった。はたして荒川でバラバラ死体の一部が発見されて…。現代社会の奇怪な深淵を爽やかな筆致でえぐる長編小説。

+-+- 感想 -+-+

 宮部作品らしい登場人物がハートフルなやりとりをしながら、残酷な事件を追いかける。

 バラバラ殺人は普通のバラバラ死体ではなく、より悲惨な状態で発見された。

 町内にまことしやかに流れる噂は噂だけにはとどまらず、このバラバラ殺人と奇妙な一致を見せる。

 

 東京下町の人情を側面的に描きながら、変わりゆく人々の精神の在り様。

 その変容が最近の社会の変化をも映し出しているように思える。

 

 少年の描写が非常にうまいと同時に若者の精神の深淵をもうまく描いていると思う。

 主人公が少年らしさを非常に持ち合わせているのと比較している分も際立たせている要因になっているのかもしれない。少年少年している描写はホッとさせると同時に、闇の部分を非常に際立たせていた。

 

 ハートフルだけどちょっと怖い小説だと思う。

 

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