強烈な世界観だった。
ずっしりと重たい闇を背負った主人公が見始めた天使たち。
このギャップに僕は魅了された。
どこか厭世的で、破滅的な思考をした主人公が織り成す日常は天使すらも嗚咽した。
そして、ヨーロッパへ。
僕自身がミチルの旅したところに行ったことがあるからだろうか?
そこにはヨーロッパの匂いがあった。
イスタンブールの殺人的な交通、トルコ人の笑顔。
ギリシアの終わりの美術や抜けるような青空と暑さ。
そんなヴィヴィッドがミチルの身体に染み込み、読み手に染み込んだ。
タイトルも魅惑的だけれど、その世界観は非常に妖しく、とてもピュアだった。宝塚的妖しさを内包した作風は、男性は共感できないかもしれないけれど、女性ならとても共感できる内容だろう。
|