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 ◇「ブギーポップは笑わない」 上遠野浩平 (電撃文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 君には夢があるのかい?

 残念ながら、僕にはそんなものはない。

 でも、この物語に出てくる少年少女たちは、みんなそれなりに願いを持って、それが叶えられずウジウジしたり、あるいは完全に開き直って目標に突き進んだり、まだ自分の望みというのが何なのかわからなかったり、叶うはずの無い願いと知っていたり、その姿勢の無意識の前向きさで知らずに他人に勇気を与えたりしている。

 これはバラバラな話だ。かなり不気味で、少し悲しい話だ。

 ――え?僕かい?

 僕の名は“ブギーポップ”――。

 

 第四回ゲーム小説大賞受賞作。

+-+- 感想 -+-+

 電撃文庫という性質から現代ファンタジー系を僕は予想していた。

 もちろん、ジャンルはファンタジーである。でも、ミステリとそしてサスペンス要素の強い小説だった。

 しかも非常に絶妙な構成と、語り口で読者をぐっと惹き付ける。

 

 しかも、ブギーポップがかっこいい。

 憧れてしまう。タイプ的には京極堂(京極夏彦妖怪シリーズ主役)に似ている。

 語り口が似ているという事もあるんだけど、それより、精神の在り様が同じ色をしているように思える。

 

 また他の登場人物たちも高校生の微妙な心理を上手く描いていると思った。

 高校という社会システムの中で登場人物たちが抱え込んだ闇というものを非常にうまく描いた作品だと思った。だからこそ、多くの読者に圧倒的な支持を受けているのだろう。高校という社会システムが自我を確立し始めた時期にどのように作用するのか。それを絶妙に描いたと思う。

 

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