今回も二転三転と翻弄された。
自分探しの過程を読み進めていき、一つ一つ謎を解いていくのだけど、解いたと同時に増える謎に頭を悩ませた。また、犯人は誰だとか事件に焦点を当てている今までの形のミステリとは一線を画すと思う。
それは人自身の中にある謎が最大のミステリになっているからだろう。
難しい問題を扱っている作品で、最後まで真実の部分は分からない。
あえてそのように終らせていると思える。それはたぶん、まだ作者本人も結論が出せないし、もしかすると結論を出せるような問題じゃないとでも思っているのだろう。
『わたし』って誰?
その問いかけを読んでいくうちに、自分自身の存在すらも疑問に思えてきてしまうのが怖い。
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