1960〜70年代。彼らはヴェトナムを感じていた。それは百パーセントの事実。そこには混乱と不安が存在していた。そして時代はヴェトナム戦争、そして冷戦が終結する事によって、安定を取り戻したかのように思える。しかし、核は確かに存在している。核。僕達が常に感じる潜在的な不安。地域紛争は存在する。しかし相対的に世界の緊張度は低下している。だからこそ、核の危険性は潜在度が高まり、表面化しなくなってきた。だからこそ現代の僕達はその潜在的な不安を払拭する方法を見つけ出せないでいる。何もかもが潜在的過ぎるのだ。そんな時代、僕達は何を見出せばいいのか、何を頼ればいいのだろうか。それをこの本で見つけ出せるのかもしれない。僕達の魂は確かに何かを叫ぼうとしている。
60年代のその戦争を経験した年代が、今の現代に警鐘を鳴らしているのが興味深い。核の傘下の中、平和を享受しているが、この平和は永遠なのだろうか?静かな研究という名の軍拡が進む中、戦争を経験した人間の言葉は重みがある。潜在的な僕たちの実感できない世代の不安をこの本では非常にうまく捉えていると言える。
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