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 ◇「冷静と情熱のあいだ―rosso―」 江國香織 (角川文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 穏やかな恋人と一緒に暮らす静かで満ち足りた日々。

 これが私の本当の姿なのだろうか。

 誰もが羨む生活の中で、空いてしまった心の穴が埋まらない。

 十年前のあの雨の日に、失ってしまった何よりも大事な人、順正。熱く激しい思いをぶつけ合った私と彼は、誰よりも理解し合えたはずだった。けれど今はこの想いすらも届かない――。

 

 永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る、赤の物語。

+-+- 感想 -+-+

 「あおい」とはどのような女性なのだろう?

 「冷静と情熱のあいだ-Blu-」を読んで、僕の頭に浮かんだ最初の感想だった。

 一冊だけでは決して完結しない恋の物語。

 順正が愛した「あおい」とはどのような女性で、「あおい」から見たこの恋の物語がどのようなものなのだろうと、浮かんだ感想は、失われているパーツへの渇望だった。

 そして、僕はこのもう片方のパーツ。

 「冷静と情熱のあいだ-Rosso-」を読んだのだ。

 

 「あおい」も順正もとても素敵な人間だった。

 お互い不器用で、シリアスすぎて、ほんのちょっぴりノスタルジックで。

 完全には終らなかった彼らの過去の約束は現在の彼らを強く縛り、結び付けていた。

 

 裏切れない自分の心を抱えた二人の、近くて遠い恋物語に、結構、涙してしまう人もいるだろう。

 そして、共感を覚えてしまう人も多いと思う。

 好きすぎるから、若すぎたから…あの時はダメになった。

 

 正直な二人を応援したくなるのは自分が正直になれないからかも。

 

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