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 ◇「未来形J」 大沢在昌 (角川文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 小説家志望のフリーター・菊川真。大学院で地球物理学を専攻する茂木太郎。

 ト占術師・赤道目子。女子中学生・立花やよい。

 そして、高校三年でスポーツ青年の山野透。

 何の共通点もない彼らは、ある日突然、Jと名乗る見えない存在の意思によって集められた。

 Jは言う。

 「あなたの助けが必要です」

 Jとは何者なのか?

 何もわからぬまま行動を開始した五人組だが、Jとの対話を続けながら意外な真実に近づいていく。

 Jが握っている未来、それは――。

+-+- 感想 -+-+

 大沢在昌が書いた物語を読んで読者が終章を公募で応募し、その最優秀作品が終章として掲載される。

 この画期的なシステムにより未来形Jという物語は構成されている。

 

 最初に注意を言っておけば、最後の終章はあくまで未来の選択可能な形の一つという点。これが絶対的な結末だというわけではなく、もっとも優秀な結末という事なだけだと思う。やはり書き手が変わると、違和感がある。

 でも、とても説得力のある結末でなるほどと頷いてしまうぐらいにうまく「未来形J」の謎を描ききっていた。

 

 謎の女性に導かれ、謎を凸凹な五人組がユニークに解いていく。

 手探りながら、「誰がJなのか?」という核心へと彼らは着実に歩んでいった。

 

 J-phoneのユーザー向けに書かれたものでとてもライトな文章で若者向けの物語である。

 ハードボイルドが多い彼の作品とは一味違う作風になっていると思う。

 

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