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 ◇「黒祠の島」 小野不由美 (祥伝社ノン・ノベル)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

  その島は風車と風鈴に溢れ、余所者には誰も本当のことを話さなかった――作家葛木志保が自宅の鍵を預け失踪した。パートナーの式部剛は、過去を切り捨てたような彼女の履歴をたどり、「夜叉島」という名前に行き着いた。

 

 だが、島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠の島」だった…。そして嵐の夜、神社の樹に逆さ磔にされた全裸の女性死体が発見されていた…。

 

 島民の白い眼と非協力の下、浮上する因習に満ちた孤島連続殺人の真相とは?

+-+- 感想 -+-+

 小野不由美初の本格推理らしい。

 作品のトーンはミステリな上にホラーの傾向が強いように思えた。

 

 舞台は余所者を嫌う孤島である。

 余所者を嫌う理由の大きなものに「黒祠」という存在があった。 

 見るも無残な女性死体とその死体を前にした島民たちの奇妙な行動。

 すべてが歪み、徐々に主人公を追い詰めていった。

 

 島民たちの閉鎖性や宗教性、また孤島独特の寂れた感じが行間から読み取れ、肌寒い思いをした。

 風車の描写や廃屋、奇妙な登場人物たち。

 怖さを演出しながら、怖さと事件そのもののミステリ性がうまくマッチングさせた作品だと思った。

 

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