小野不由美初の本格推理らしい。
作品のトーンはミステリな上にホラーの傾向が強いように思えた。
舞台は余所者を嫌う孤島である。
余所者を嫌う理由の大きなものに「黒祠」という存在があった。
見るも無残な女性死体とその死体を前にした島民たちの奇妙な行動。
すべてが歪み、徐々に主人公を追い詰めていった。
島民たちの閉鎖性や宗教性、また孤島独特の寂れた感じが行間から読み取れ、肌寒い思いをした。
風車の描写や廃屋、奇妙な登場人物たち。
怖さを演出しながら、怖さと事件そのもののミステリ性がうまくマッチングさせた作品だと思った。
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