多くのキーパーソンが集まったドミトリアスの戴冠式で、多くの野望が渦巻いていた。バルアン・シャイハンの王位争奪争い、ドミトリアス・グラーシカの国内問題。そして、サルベーンの謎に包まれた行動。
すべてが怪しく胎動しているように思えた。
転換期を迎えたシリーズはついにその最大のターニングポイントを迎える。カリエとサルベーンの再会はカリエのアイデンティティに深く寄与した。二人の間に起こった知られざる過去が読者の前に現れる。
前回、一気に格が上がったそのカリエ。しかし、バルアンとの関係は相変わらずだが、カリエはビアンの言葉で悟る。『そうだ、こんな調子ではいけないんだ』という感じに。
どちらかといえば、ひたすら暗かったこのエティカヤ編も徐々に明るさを取り戻しつつある。バルアンも前の巻で堕とした評判を取り戻す活躍で、なかなか頼もしい。もっとも、あの破天荒さは相変わらずだけど。
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