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 ◇ 「熊を放つ(上)」 ジョン・アーヴィング (中公文庫) ◇

+-+- あらすじ -+-+

 ウィーンの市庁舎公園で出会った二人の若者ジギーとグラフ。中古のロイヤル・エンフィールド700CCを駆り、オーストリアの田舎を旅する二人が見つけたものは、美しい季節の輝きと、手足のすらりとした女の子ガレン。すべてはうまく運ぶはずだった。

 ジギーが、動物園襲撃などという奇妙な計画を持ち出すまでは……。

 

 瑞々しく、痛々しく、優しく、そして未完成な青春を描くジョン・アーヴィングの処女長編を、村上春樹の最高の訳で贈る。

+-+- 感想 -+-+

 青春の一ページ。

 なぜかはわからないけれど、強く動物園に惹かれる二人。

 奇妙な行動を取り続けるジギーを持て余しながらも、グラフは常に彼に惹かれ続けていた。きっと、グラフとジギーは何かを求める上で共通の何かを持っているのだろう。

 

 それを青春とも呼べるし、社会へのシュプレッヒコールとも呼べる。

 とにかく彼らは旅に出て、その行く先で突発事故を起し、楽しんでいた。

 一緒に寝転び、じつこく動物を解き放つ話をする。その動物たちを解き放つ行為に何をジギーは、そしてグラフは感じているのだろうか?

 

 村上春樹に強い影響を与えた作品で、なんとなく『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を思わせる構成だった。ジョン・アーヴィングの処女作として、大物作家としての片鱗を感じさせる存在感だった。

 

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