読み終わった後に、ついたため息はかなり重々しいものだった。
安堵のようなため息でもあるし、逆にもう少し後を読んでみたかったというため息でもある。それだけ、僕の心にこの作品は食い込んできたという事だろう。
後半になればなるほど、もどかしい『想い』が読者に迫ってきているように感じる。
主人公のグラフが苦悩しながら、それでも何とか突き進んでいく姿は頼りないものと同時に、自分自身の姿でもあったように思える。
何が正しいのかもわからないし、社会に対してもわからないけれど、とにかく何か理不尽であるように思えて仕方がないのだ。そうやって、自分と社会の在り方というものに疑問を持つ時期なのかもしれない。
狂気と正気の狭間で、友人の見た世界、考えた理屈、そして表現されなかった思いを、主人公グラフは実現しようと考える。その方法にもやはり青春だからこそ行える未成熟な行動があった。辛いけど、その健気さは胸を打った。
ジョン・アーヴィングの作品としては完成度は低いけれど、その完成度の低さこそが、青春の不安定で未成熟な主人公を非常にリアルに表現していると僕は感じた。
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