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 ◇「今昔続百鬼――雲」 京極夏彦 (講談社ノベルス)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 河童に噛み殺された男。

 物忌みの村を徘徊する怪人。

 絶対負けない賭博師。

 神隠しに遭う即身仏。

 

 はたしてそれは全部妖怪の仕業なのか?

 断言するのは全身妖怪研究家・多々良勝五郎大先生!

 戦後まもなく各地で発生する怪事件に次々巻き込まれる妖怪馬鹿コンビの大冒険。

 『黒衣の男』も友情出演!

+-+- 感想 -+-+

 やはり、こいつも妖怪馬鹿なのか??

 そう思ってしまう。

 主人公の多々良勝五郎大先生は作者の友人に酷似している。

 きっと、モデルにしたのだろう。もし、これを読了して、モデルになった人に興味が湧いたのなら、京極夏彦・多田克巳・村上健司共著の「妖怪馬鹿」(新潮OH!文庫)を読むことをお勧めする。

 

 さて、この多々良大先生はすごい妖怪馬鹿なのだ。

 芯の髄まで妖怪に冒されている。その大先生と一緒に旅をするのは伝説蒐集家沼上蓮次。多々良先生と比べると、ちょっと常識人だが、かなりの馬鹿である事は否定できないだろう。(この人もまた誰かを想起させる。きっとこの人もモデルがいるのだろう。気になった人は是非、上述の「妖怪馬鹿」を読むことをお勧め。)

 

 さて、この二人の馬鹿が一緒に旅をするのだから、問題や喧嘩が起こって当然。

 それがまた楽しいのだ。なんとなくお似合いの二人なんだろうなと思えてくる。

 強い友情というか、腐れ縁が読み取れる。

 

 もちろん、薀蓄の深さも『妖怪シリーズ』とひけを取らない。

 なかなか興味深い薀蓄が散りばめられている。

 黒衣の彼が出てきて、一層、その妖怪の度合いが濃くなったように思える。

 それほどに、妖怪が散りばめられていた。

 ミステリというよりは妖怪(ミステリ)小説と言った方がいいのかもしれない(笑)

 

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