一気に壊れだした村人たち。
不安が常識を覆い隠し、崩壊の音が明確に読者にまで聞こえ始めている。
もう、静信もいない中で、敏夫が選んだ道は、壮絶な医師としての行為だった。
それが正しいのか間違っているのかはもう彼にとっては問題ではないのだろう。
そこまで、村は追い詰められていてた。
屍鬼側の緻密な計算の中で、もう敏夫たちに打つ手は残されていない。
闇は光をとっくの昔に飲み込んでしまっていたかのようであった。
そして追い詰められた彼は驚くべき手段に訴えた。これに賛同できるかどうかで、これからの敏夫と静信の評価も変わってくるだろう。
屍鬼は呆れるほど残酷に人々を追い詰めていき、食事をする。
その姿は誰も信じられなくなるほどである。屍鬼を見ながら、いつのまにかに人を見ているような気がした。
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