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 ◇「燃えよ剣(上)」 司馬遼太郎 (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 幕末の動乱期を新撰組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。

 武州石田村の百姓の子『バラガキのトシ』は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上がりの寄せ集めに過ぎなかった新撰組を、当時最強の人間集団へと作り上げ、己も思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。

 『竜馬がゆく』と並び、“幕末もの”の頂点をなす頂点。

+-+- 感想 -+-+

 『幕末もの』でNo.1の小説だという評価すらある。

 上巻だけで、その評価に頷いてしまうパワーがあった。

 それは司馬遼太郎の筆力と同時にその素材の良さもあるだろう。

 

 新撰組副長・土方歳三。

 新撰組で人気なのは、隊長の近藤勇よりも、副長の土方歳三、沖田総司なのも頷ける。それほどにその素材がいいのだ。

 そして、司馬遼太郎はそれを十二分に生かしている。

 

 上巻は新撰組の成り上がりと絶頂期を描いたものだった。歳三の組織作りがどのようなものであったのか。厳しすぎる隊法はなぜかだったのか?

 その真意を絶妙に描ききっているのがすごい。

 新撰組を描くのなら、土方歳三を描くという司馬遼太郎の視点は見事に正鵠を射ていたのだろう。

 

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