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 ◇「燃えよ剣(下)」 司馬遼太郎 (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新撰組の最も得意な日々であった。

 やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に自刃で挑んだ新撰組は無残に敗れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。

 しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。

+-+- 感想 -+-+

 上巻が成り上がりなら、下巻は新撰組の末路と、土方歳三の生き様がメインになっていると言えよう。近藤勇と対比したその生き様は非常に対照的だった。

 逆境になればなるほどその本領を発揮した歳三とは逆に勇は揺れに揺れたのだった。

 沖田総司は病によりその生き様は一層儚いものになったけれど、歳三との友情の堅さを際立たせる結果になった。すごく二人の友情は感動できる。

 歳三は頑なまでに忠義であり、それこそが男の美徳だと心得ていた。

 お雪との恋もとても不器用なものであったけれど、それでも彼はとても優しく、そして一途なのは、彼の生き様ともオーバーラップしている。

 

 戊辰戦争で鬼神のような活躍をした土方歳三が未だに多くの人間の人気を呼んでいるのは、やはりその頑なまでの忠義と美徳に基づいた行動があるからだろう。

 

 「幕末もの」で迷うなら是非この一冊と安心してお勧めできる本だ。

 

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