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 ◇「銀の魔女」 冴木忍 (富士見ファンタジア文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 「師匠、この依頼、絶対に引き受けてもらいます」

 おれは魔法使いメルヴィの弟子、カシム。おれの師匠ときたら、黙って立ってりゃ貴公子で通るほどの美貌なのに、そのぶん性格が悪い。魔法は教えず家政婦がわりに俺をこき使いやがって……。師匠のバカヤロー!!

 ――と、とにかく、ぶつくさ言う師匠を連れて《青の都》に来たのはいいけれど、そこはお家騒動の真っ最中。ところが謎の美女が現れて……。美女がらみとなれば師匠もやる気を出すはずなんだけど!?

+-+- 感想 -+-+

 今回の構成は中編が三編という形だ。

 どれも印象深かったんだけど、「君に吹く風」はかなり泣けるし、勇気をもらえる作品だったと思う。他にも表題の「銀の魔女」ではカシムくんの一生懸命さと若さ、それと対比するように師匠のどこか老成した態度の対比が胸に響いた。

 

 「君に吹く風」では構成の見事さと冴木忍らしい温かさ、哀しさが入り混じった作品になったと思う。強い心やかなわぬ思いなど、カシムの視点を通じて、メルヴィが活躍していた。そしてあのアドルファスもかなりカッコよく活躍していた。もしかして実はいい人なのかも。

 

 …にもかかわらず、今作もかなり笑わせてくれた。

 前作もそうだけど、ストーリーの暗さをキャラの明るさが覆っている感じがする。

 そして、そのバランスが絶妙なのだと思う。

 

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